初めての動物病院

初めての動物病院 ワンコ

ワンコが我が家に来てから一ヶ月が過ぎた。その間、すくすくと元気に育ち部屋の中では体力を持て余すようになっている。すぐにも外で思いっきり遊ばせてあげたいが、その前にやらなければいけないことがある。

柴犬を室内で遊ばせる限界

ワンコを飼う義務として狂犬病予防のワクチン接種があるが、お迎えした仔犬に対してすぐに打てるというわけではなく、生後91日以降と決まっている。我が家のワンコはすぐにでも打てる時期に入っているが、仕事の関係で9月中旬に打つことになったので、それまでの間は外に出すわけには行かない。約一ヶ月、部屋の中で遊ばせることになった。

部屋中をクンクンと嗅ぎ回る探検の時期は過ぎ、チョロチョロと元気に動き回っている仔犬だが、普段は留守番のときはケージの中で過ごし、それ以外は好きな場所で寝てるか、大人しく過ごしている。

そんなワンコだが、月齢四ヶ月近くになると小柄な豆柴であっても体力オバケの様相を呈してくる。

昼寝から覚めると玩具や木片をガジガジ噛んで一人遊びを楽しんでいるが、飽きてくると遊んで~と呼びに来る。

そして一緒に遊び始めるが、一度スイッチが入ると大運動会が始まる。狭い室内を信じられないスピードで縦横無尽に走り回り、楽しそうにはしゃぎまくっている。中でもボール投げ遊びが大好きで、部屋の端まで投げてやると猛ダッシュで取りに行き、ボールを咥えて戻ってくると、もっともっと投げて~と催促してくる。場所によってはテーブルや椅子の足が障害物となっているが、どれだけ勢いよく走っていてもぶつかるような事は一切なく、直前で急ターンを決めたり軽々とジャンプしたりと反射神経も抜群だ。さすがは狩猟犬の末裔だけある。その姿を収めようとカメラを向けようにも、余りのスピードについていけない。

ひとしきり走り回り疲れてくると、ベランダの網戸越しに鳩や雀がやってくるのを待ち伏せたり、風が吹くと鼻をクンクンとしながら未だ見ぬ世界への好奇心を膨らませている。

そしてひとしきり遊んだあとは体を優しく撫でていると、再びコテンとお休みタイムに入っていく。その寝姿に癒やされながら、起こさぬようにそっと手を離しとっ散らかった部屋を静かに片す日々、、、

もともと柴犬は野山を自由に駆け巡り小動物などを狩る性質なので、部屋の中でどんなにたくさん遊んで発散させても、気がつけばクッションや絨毯を穴が開くまでホリホリしたり家具の角を齧ろうとする。そんなときは気分転換で外階段まで抱っこで連れ出し外の景色や匂いを嗅がせているが、やはり地面に降りたいようで、隙あらば腕の中から飛び降りようとするのでヒヤヒヤしっぱなしだ。

初めての動物病院

そんな状況の中、ようやく狂犬病ワクチンの接種日になった。

この日も朝から猛暑だったが、動物病院は徒歩五分くらいの近所にあるのでクレートに入れて歩いて行くことにした。午前中の予約に合わせ出かける準備をしていると、いつもと違う様子を察したのか普段よりテンションが高い。

クレートトレーニングは全然していないので自分から入ることはまだできないが、それでもなんとかクレートに入れると暴れることなく大人しくチョコンと収まった。

外に連れ出すと扉の隙間から鼻を出し、初めての流れ行く景色の匂いを盛んに嗅いでいる。人間の歩行に合わせて揺れるクレート内でポジションを取るのが難しいのか、珍しくクンクンと鳴いている。時折立ち止まり、濡れた鼻先を撫でてやると指先をペロペロと舐め返してくるのがなんとも可愛い。

動物病院に到着すると院内は既に一杯で外のベンチで順番待ちをすることになった。ベンチに腰掛けクレートを膝の上に乗せると、ようやく落ち着きを取り戻したようでクンクン鳴きを止めクレート内で大人しくなり周りの様子を伺っている。

他のベンチには先客の犬が数匹いたが、初めて見る色々なワンコ達の姿に興味津々のようで、格子から盛んに鼻を突き出し尻尾フリフリで気を引こうとしている。他のワンコたちは皆大人のワンコで、仔犬など興味ないのか、あるいは不安でそれどころではないのか完全に無視されてしまった。

一方、ワンコの飼い主たちは「カワイイ~」と黄色い声をかけてくるので、その笑顔が嬉しくてクレート内で盛んに尻尾を振っている。
他のブログなどを拝見していると、初めて動物病院に来たワンコは怖くてガクブル状態になる事が多いみたいだが、うちのワンコは怯える素振りもなく、好奇心のほうが勝っているようだ。

いよいよ名前を呼ばれ診察室に入っていくと、先生と二人の看護師さんに囲まれ幾分緊張気味だが、それでも尻尾を振りながら愛想を振りまいている。看護師さん達もやはり元気な仔犬は可愛いのだろう、満面の笑顔でアイコンタクトを行い優しくホールドしてくれていた。

ひとしきり成長具合などを診ていただき、すくすくと育っていると太鼓判を押されたが、耳の中を覗き込むと、「外耳炎ですね~」と診断されてしまった。

ん~お迎えして一月の間、水が入ったりするような状況はなかったので戸惑っていたが、柴犬は割とよくなるとのこと。柴犬は病気に強く頑健な体が特徴だが、皮膚疾患になりやすい犬種のようで、外耳炎もその影響だろうということだった。

そんな説明をしてくれた後、おもむろに薬を塗った綿棒を取り出しワンコの耳の奥に塗りつけた瞬間、

キャイ~~~ンンッ

院内中に鳴り響くような甲高い声でワンコが鳴いた。

突然の刺激でビックリしたのだろう。普段は殆ど鳴くことはなく、滅多に吠えたり声を出さないワンコなので、思わず観ている自分もビックリしたが、当のワンコは綿棒を抜くと特に騒いだり震えることもなく何事もなかったような表情をしているので、ホッと胸をなでおろした。

そしていよいよ狂犬病の予防注射を打ってもらうことになったが、先生が注射器を持ち出しても、体に針が刺さっても動ずることはなく、ここでも何事もなかったように周りを見回しているだけだった。なんとも拍子抜けしたが、看護師のお姉さんがしっかりとホールドしてくれたので安心していられたのだろう。

無事に接種が終わり自宅に戻ると、初めての体験に疲れたのか直ぐにお気に入りの敷物の上でスヤスヤと眠ってしまった。

狂犬病の予防接種を無事に終えたので、これでいよいよ地面に足をつけた散歩も可能となるが、念の為に犬同士の接触は1週間後の混合ワクチンを接種するまでは避けたいこともあり、もう少しだけ抱っこ散歩でガマン。そのかわり、早朝の涼しい時間帯限定で屋上に連れていき自由に過ごせる時間を追加してあげた。

ワンコの人見知りを無くす方法

抱っこ散歩で家の近所をあちこち歩いていると、抱っこされている安心感からなのか、腕の中でリラックスしながら流れる景色に興味を示している。それでも初めての道や、急に車が横切るような状況になると四肢を強張らせ腕にしっかりとしがみつきブルブルと震えている。そんな緊張状態をあやしながら少しずつほぐしていくと、やがて外の雰囲気にも慣れ、時折、すれ違う人達からは

「カワイィ~~~! 触らせてもらっていいですか?」

と年齢、性別を問わず頻繁に声をかけられる。それが嬉しくてしょうがないのか、尻尾をフリフリしながら自分から身を乗り出し撫でてもらっている。

本来、柴犬は警戒心が強いため、飼い主以外にはなかなか懐かない事が多い。それが番犬向きと言われる理由の一つだが、マンションの室内で飼うような場合は強すぎる警戒心はかえって近所迷惑になってしまう。共有廊下を通る足音や、ドアホンの音、ちょっとした異音がしただけでも吠えてしまうワンコは多い。

そんな無駄吠えに悩んでいる飼い主さんは相当数いらっしゃるようだが、他者に対する警戒心を解くには、他者との楽しい体験を積み上げるのが一番な気がする。

若い頃飼っていたワンコは人間が大好きなワンコだった。
家の前が小学校の通学路だったので、幼少期から柵越しに多くの子供達にとても可愛がられていた。その結果、めったに吠えることは無く、穏やかで人懐っこいワンコに成長してくれた。

そんな経験から、ワンコをお迎えしたら、できるだけ早い時期から多くの人と笑顔で接する機会を持つように心がけている。その積み重ねが見知らぬ人に対する警戒心を解き、無駄吠えもしなくなる一番の方法のようだ。

そういった経験からすると、初対面の人にその場で笑顔を向けていただけるのはとてもありがたいことなので、散歩ではこちらから話のキッカケを作るようにしている。

難しいことではない。

朝の散歩では「おはようございます」

夜の散歩では「こんばんは」

たった一言、こちらから笑顔で声掛けをするだけで、犬好きな人なら間違いなく返事をしてくれる。そうなればしめたもの。あとは抱いているワンコの笑顔につられ、満面の笑顔で接してくれるのだ。

挨拶はワンコに限らず人間社会でも基本中の基本。初対面の相手に対して挨拶がきちんとできるかどうかでその人の評価は決まってしまうことも多い。ましてやうちのワンコは新参者なので、積極的にこちらから挨拶し、人社会、犬社会の一員として認めてもらえるよう頑張ろう。

とはいえ、なかには犬嫌いな人も当然いらっしゃるので、まずは相手の目を見て判断。すぐに視線をそらす人は静かに側を離れよう。

このような体験が功をそうしたのか、今のところ人見知りは一切なく、人が近づいてくると自分から尻尾をフリフリしながら近づこうとする。部屋の中にいるときもドアホンの音で吠えたりすることはない。扉を開けたらどんな人が笑顔で接してくれるのか?といった期待感から扉の前で嬉しくてヘソ天している。

この先、人懐っこいワンコに育ってくれることだろう。

ワクチンの副反応?

抱っこ散歩を朝晩行い、改めて1週間後に混合ワクチンを接種するために病院を再訪することとなった。初回訪問時より更に好奇心丸出しで、クレートの上蓋を開けてあげると、ひょっこりと顔を出し周りに愛嬌を振りまいている。今回も、全然怖がらない。

目的の混合ワクチンも、前回の優しい看護師さんに抱っこされながら先生に注射を打ってもらい、今回もニコニコ顔で自宅に戻ってこれた。

動物病院、なんなくクリアー!

ところが、今回は自宅に帰ってからどうも元気がない。前回の狂犬病ワクチンのときはなんの変化もなかったが、お気に入りの敷物で体を丸めてグッタリしている。副反応が出たのだろうか。

午前中に接種してから様子を見ていたが、夕方になっても起き上がろうとしない。不安になったので病院に電話すると、すぐ連れてきてくださいと言われた。

改めて診察していただいたところ、特に重篤な状況ではなく、気にするほどでもないとのことだった。念の為、副反応を緩める注射?を打ってもらうと、自宅に戻る頃にはいつもの状態に戻ったので一安心。

やはりワクチンの類はそれなりに体に負荷がかかるのだろう。

混合ワクチンは1年毎に接種することが奨励されているようだが、1年後に再度接種するかは微妙だ。できれば打たせたくないのだが、これから散歩に出ると色々なワンコ達と接する機会が増えていく。さらにドッグランなどは接種証明が必要な場所もあるようだ。

自分の場合、できるだけワクチンの類は打たない派だが、ワンコの気持ちはわからない。これから長い付き合いになるので性格や体調を観察しながらじっくりと考えていこう。

というわけで、お迎えして初めての動物病院は、拍子抜けするくらい穏やかな体験となった。面識のない人に対しても過剰な警戒心を起こすことはなく、むしろフレンドリーな性格のようで明日から安心して散歩に行けそうだ。

思いっきり走らせてやろう!

楽しみにしておれ!

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