新しい家族 -我が家に仔犬がやってきた-

ワンコ

ウォーキングの途中でたまたま立ち寄ったペットショップ。一目惚れした仔犬をお迎えすることになってしまった。

酷暑のオアシス

お盆休みの猛暑の午後、妻が珍しくウォーキングに行こうと切り出してきた。

一番暑い時間帯に行くのは気が引けたが、妻はどういうわけか首に保冷剤を入れた手ぬぐいを巻き終え、既に行く気満々だ。今年の夏は暑熱順化が目標なので、そのやる気に応えないわけにはいかない。買い物がてら歩いて30分ほどにある大きなショッピングモールまで歩くことにした。

歩き始めは冷房で冷えた体に日差しが心地よかったが、5分もすると二人して汗をかき始めた。途中、コンビニで休憩タイムを挟み、家から3キロ程のところにあるショッピングモールに到着する頃には、妻は暑さでヘロヘロになっていた。

ショッピングモールの屋内は別世界のようにエアコンが効いているが、休憩しようにもフードコートは満席でごった返している。ランチタイムはとうに過ぎていたが、館内が涼しいのでご近所さん達が席を離れたくないのだろう。時折、場所取りで口論なども巻き起こり、落ち着いて休憩できるような雰囲気ではない。

そんなときはペットショップがオススメだ。店内のレイアウトは仔犬や仔猫達が壁に沿って並べられており、椅子に座って眺められるようになっているので、癒やされながら休憩ができるのだ。

ワンコの記憶

子供の頃から犬が大好きだったが、母子家庭のアパート暮らしでは犬を飼うことなど夢のまた夢だ。小学生の頃に過ごした一軒家は一夏だけの思い出となり、その後は都内のアパートなどを転々としていた。

そんな引っ越し人生の中で、大学時代に住んでいた家はたまたま5LDKの庭付き車庫付きの一軒家だった。母親と二人で住むには持て余すくらい広い家だったので、生まれて初めて犬を飼うことにした。

その頃の数年間は人生の中でもっとも濃密な記憶として刻まれており、色々な出会いと別れが飼い犬の一生と重なり、飼い犬が亡くなるとともにデカい家を去ることになった。

ペットショップや保護犬の譲渡会などで仔犬を眺めていると、そんな懐かしい記憶が蘇ってくる。

ペットショップは訪れたタイミングで、色々な仔犬が入れ替わり立ち替わり気を引こうとしているが、今回は白ラブが目立った場所に陣取っていた。もし次に犬を飼うとしたらラブラドールと決めていたのだが、問題は住環境だ。

住んでいるマンションはペット禁止ではないので、飼おうと思えば飼えるのだが、大型犬の運動量を賄える場所は限られている。いつもジョギングしている河川敷であってもリードを離すわけには行かない。特にラブラドールのような大型犬は自分の意志で自由に走り回れ、川や海などの水場がないと、その本領を発揮できない。とても人気のある犬種だが、我が家の住環境では幸せな一生を送ってもらうことは難しそうだ。

媚びない瞳

そんなラブラドールと一緒に走り回っている様子を夢想していると、視野の片隅に違う仔犬の視線を感じた。

昼寝から覚めた豆柴が寝ぼけ眼でこちらを見つめている。しばらく目を合わせていたが特に媚びるわけでもなく、自分の世界を持っているような性格だ。以前飼っていた犬は柴犬の雑種だったが、その瞳によく似ていた。

なんとなく気になったので、スタッフに頼んで抱かせてもらうことにした。胸の中で大人しくしている豆柴を撫でながらスタッフとあれこれ世間話をしていると、そのうち退屈したのか、隣に座っていた妻に興味を示し始め、自分から鼻を伸ばし妻の胸元の匂いを嗅ぎ始めた。すると耳を後ろに伏せ服従のポーズを取り、尻尾をフリフリしながら妻の瞳を覗き出した。

初対面なのにどうやら妻のことが気に入ったようだ。

妻は犬を飼ったことがないので犬との暮らしが想像つかないと言うが、それでも以前から縁があれば飼いたいと訴えていた。その願いが通じたのだろうか。

因みに、仔犬の誕生日を何気なく確認すると、以前飼っていた犬の命日と同じ日だった。

ピピッときた!

この仔は我が家の一員になりたがっている!

猛暑の中、妻が珍しくウォーキングをすることになったのは、この仔犬と出逢うためだったのだ。今まで何度か気に入った仔犬はいるが、どの仔犬も結局お迎えすることはなかった。今回は予想もしていない展開となったが、縁とはこういうものなのだろう。

即決でお迎えすることにした。

そうと決まれば話は早い。

その日のうちにお持ち帰りしたかったが、購入目的で店に訪れたわけではなかったので、仔犬をお迎えするための準備は何もしていない。

スタッフによると、数日間預かり、都合の良い日に引き渡すことも可能とのことだったので、この時は手続きだけ行い仔犬は翌日の昼に引き取ることにした。

結局、あれこれと手続きを終えて店を出る頃には夜になっていた。予想外の展開で喉はカラカラに渇き何も食べていなかったので、近所の店で焼き肉を頬張りながら今後のことを妻と相談し家に戻ったが、新しい家族が増えることに二人共興奮していたようで、この日の夜は朝まで眠れなかった。

ようこそ!我が家へ!

翌朝、急遽レンタカーを借り、自宅近くの百均でケージ用の資材や取り急ぎ必要な物を購入し、その足でショップに向かい仔犬を待っていると、バックヤードから昨日のスタッフが仔犬を抱き抱えながらやってきた。

目が合うと尻尾をブルンブルンと震わせながら全身で喜びを表し、こちらに乗り移ろうとしている。昨日のクールな態度は演技だったのか?

抱きかかえると、顔中を舐め回しながら喜びを表している。

引き渡しの手続きを終え、最後にスタッフが記念写真を撮ってくれることになったが、一発でポーズを決めてくれた。さすがは女の子だ。その後、段ボールの中に収まり店をあとにした。

はやる気持ちを抑え自宅に戻り、恐る恐る段ボールを開けると、仔犬が元気に顔をあげ飛び出してきた。箱から出して自由にさせてみると、部屋から部屋へ走り回り、興味深そうに新しい世界の匂いを嗅いでいる。

その間に百均で購入したメッシュのパネルで仔犬の寝床をDIYし、飛び回って興奮状態の仔犬を中へ入れてやると、ようやく落ち着きを取り戻した。散々動き回ってのどが渇いたのだろう。水を美味そうに飲んだかと思ったら、寝床でそのままコテンと寝てしまった。

その寝顔は天使そのものだ。

予想もしていない展開となったが、これから新しい家族との生活が始まることになる。

豆柴 5月生まれの可愛い女の子

ようこそ!我が家へ!

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