正月太りを解消すべく、ダイエットしなきゃぁとウォーキング、ジョギング等を始めるにはいいタイミングだが、普段から習慣がないのにいきなり始めると思わぬ怪我につながってしまう。
何事もやりすぎは良くないというお話。
順調にステップアップ
休日登山を楽しむために体力づくりの一環としてウォーキングを取り入れているが、日々歩いていると自然と距離がどんどん伸びて行き、もっともっと遠くへという気持ちが芽生えてくる。
すると、時間を稼ぐため徐々にスピードアップするようになり、いつしかジョギング程度の速度で日課をこなすようになった。
始めは1キロ走ったら1キロ歩くというインターバルを繰り返し、慣れるに従って徐々に負荷を上げて行くと、3キロ、5キロと走れる距離がどんどん伸びていった。10キロ程度をジョギングで走れるようになる頃には苦しいけどなんか楽しいという、いわゆるランナーズハイの入口にたどり着けるようになった。
達成感を味わう
グーグルマップで距離を測り色んな場所をジョギングするようになり、出張先でもシューズを持参し旅ランを楽しんでいた。
そんなある日、海まで行ってみよう!というノリになり、自宅から河川敷を南下し東京湾まで、距離にして15キロ程を走ってみることにした。ヘッドフォンで音楽を聞きながら流れ行く景色を楽しんでいると川幅がどんどん広くなり、その先に水平線が見えてくるようになった。
ゴールの東京湾はとても穏やかで、太陽が水面をキラキラと照らし完走できたことを祝福してくれてるようだった。
その後は達成感に浸れる喜びに気を良くし、もっともっと走ってみたいという欲が出てきた。
そこで普段の仕事先である日本橋まで通勤ランを取り入れるようにした。
自宅から往復20キロの通勤ランを一日置きに繰り返し、少しずつタイムが縮んでいくことに喜びを感じていた。
そしてついに、東京湾まで往復30キロを休まず走れるか?チャレンジをすることになり、穏やかな休日の朝にトライしてみることにした。
平日とは違い、カラフルなスタイルの老若男女が汗を流しており、見ているだけでもエネルギーを貰えるような気分になってくる。
抜くことよりも抜かれることのほうが多かったが、マイペースで景色で楽しみながら爽やかな汗を流し、折り返し地点の東京湾河口までは景色を楽しむ余裕すらあった。その後は未体験ゾーンに突入していったが黙々と距離をこなしていくが、残り5キロほどになると下半身や腕の筋肉が悲鳴をあげてきた。
それでもスタート地点の橋が見えてくると気分は一気に高揚し、ゴールのテープを切る瞬間を脳内妄想しながら橋にたどり着いた。
歩くことなく無事に30キロを完走できた!!!
調子に乗ると思わぬ落とし穴
ハーフマラソンなんて余裕じゃね?
来年の東京マラソンにエントリーしちゃおっかな!
ハイな状態が帰宅後も続いていた。
体調も運動の前後に飲んでいたサプリメントが功を奏し、筋肉痛など全く無かった。
登山時の筋肉疲労が加齢と共に増加していたので、数年前から激しい運動の前後にはこのサプリメントを飲むようにしているが、効果の程は抜群だった。登山の前や下山後に数粒噛み砕いて飲むだけで翌日以降も筋肉痛が殆ど出ないのだ。筋肉痛予防には間違いなくオススメできるサプリだ。
このときも走る前と後に数粒噛み砕いて飲んでいたため、帰宅後も筋肉疲労や痛みが殆ど出なかったのだが、その筋肉疲労を感じないという状態が災いした。
翌朝目覚めると相変わらずハイな状態が続いており、体の怠さもなかったので普段どおり通勤ランで出社することにした。
心配された筋肉痛もなく快調にジョギングしていたが、8キロを過ぎた当たりから左膝下部、スネの一部に違和感を感じるようになった。
その違和感は少しずつ広がり9キロを超えた辺りで軽い痛みも伴うようになってきた。直ちに走ることを辞め徒歩に切り替えたのだが、あっという間に激痛に襲われ歩くことさえ困難になってしまった。
局所的ではあるが、ほんの少しでも動かすと左脛がハンマーで粉砕されるような激痛に襲われるのだ。
胆石を患った時の痛みに比べたら局所的であることがせめてもの救いだったが、それでも尋常じゃない痛みだ。
会社は完全に遅刻し、おとなしく座っていてもガンガンと痛みが止まらなくなってきたので近くの整形外科に行くことにした。
骨の内部がグチャグチャ
診察室で問診を済ませると隣のビルに行くように指示された。
隣の雑居ビルは全フロアがCTスキャンや最先端のMRI機器が設置されており、ビル全体が検査のためだけのビルだった。多くの受診者が流れ作業のように番号の書かれた部屋に吸い込まれていき、出てきた。今どきの都心のクリニックはベルトコンベアー方式を採用しているらしい。
久しぶりにSF映画に出てくるような機械に横たわり撮影が終わるまでじっとしていたが、頭は固定されていなかったので以前のような緊張感はなく(過去記事参照)、リズミカルな機械音を好きな音楽に変換していた。
撮影が終了し受付でしばらく待たされていると、診察室に入るよう促され先生から説明を受けることができた。
疲労骨折ですね
疲労骨折???
予想もしなかった診断結果に、何を言ってるのか理解できなかった。
子供の頃から骨は丈夫だと言われ続け、頭を強打した時もヒビ一つはいらなかったのだ。(その時の様子はコチラ)
外観は折れてグラグラしてるわけではないので、骨折というイメージがなかなかわかない。
先生の説明によると、骨の表面に異常はないが、骨を形作っている骨内部の柱のような細い組織が破壊され、骨の内部がグチャグチャな状態なのだそうだ。
始めは局所的な破壊だが、その状態で過剰な負荷がかかると一気に破断が周りに広がり激痛が出るとのこと。
なるほど、初めの違和感から軽い痛み、そして一気に激痛に見舞われるというプロセスがイメージできた。
見た目ではわからないし、レントゲンでもなかなか判断がつかないらしいが、CTやMRIで撮影すると局部が白く表示されるということだ。
たしかに、見せられた画像には痛みの箇所が白い星雲のように広がっている。
またしても先端医療技術の恩恵を受けられた。
どうすれば治りますか?
表面がポキンと折れてるわけじゃないし、膝関節も問題ないからギブスは必要ないですね。
ほっとくしかないですね。
内部が元通りになるまでどれくらいかかるんでしょうか?
ん~だいたい1~2ヶ月くらいかな~
!!!
それまでこの痛みは続くんですか?
とりあえず痛み止めの湿布と飲み薬で凌ぐしかないですね
・・・・・・
松葉杖を突きながらヨロヨロと会社に戻り、仕事する気にもなれなかったんで早退することにした。←テキトー
なぜ疲労骨折してしまったのか?
摂取したエネルギー(食事)では賄いきれないくらい消費したエネルギー(運動量)のほうが増えすぎてしまったので、体の栄養バランスは借金状態だったのだ。
その借金を補おうと体が反応し、骨内部に貯めてあった栄養分がどんどん使われてしまい、結果、骨の内部が骨粗鬆症なようなスカスカな状態になってしまったようだ。そういう状態で過度の運動をしたことで脆くなった内部が一気に破壊されるに至ったわけだ。
普段から食生活はバランス良く食べることを心がけているが(というより出されたものは何でも食べてたが)、運動量に見合った栄養バランス、食事量ではなかったということだ。
登山前や下山後はしっかりと食べていたが、そこに長距離ジョギングを習慣化するようになったにもかかわらず、より多くの栄養を追加しなかった結果、体の各所に対する栄養補給が追いつかなかったのだろう。
見た目は健康そのものだったが、内部は確実に疲弊していたということだ。
運動>食事=体内スカスカ:×
運動<食事=肥満:×
運動↑=食事↑:◎
本来、体調のバランスが崩れ始めると体は適切な信号を発するのだが、例えば激しい運動の場合は筋肉痛が最もわかりやすい信号だ。
その意味するところは、筋肉を休ませてくれ~!壊れた筋組織を修復するために栄養を補給してくれ~!
ということを教えてくれるのだが、今回の場合、筋肉疲労軽減サプリを飲んでいたため筋肉痛が出ることは無かった。しかし、骨は疲弊していた。
筋肉だけが疲れているわけではなく、体全体に疲労が蓄積されていたのだ。
なので本来なら始めて30キロも走った翌日などはゆっくり休養することが大切にもかかわらず、休むこと無く翌日の朝から走ったことで筋肉を通り越し、骨が壊れてしまったのだ。
転ばぬ先の杖
ジョギングを初めるにあたってどうすれば怪我をしないで継続できるか?
色んな方法を模索している時にマラソンのQちゃんを育てた小出監督が書いた本を手にしたのだが、素人でもとてもわかり易く、誰もが実践しやすい内容なのでとても参考になっていた。
本文中には休養を取ることの大切さをキチンと記してあったのだが、にもかかわらず怪我をしてしまった。
頭では運動後の休養はとても大切だということは十分理解していたのだが、ランナーズハイの状態がそれを妨げてしまい、更に筋肉疲労軽減サプリメントが初期の危険信号を発するのを防いでしまったのだ。
司令塔がイカれていたんでは正しい信号をキャッチできないし、出ていたとしても見逃してしまうのが人間の未熟さだ。
小出監督ゴメンナサイ
筋肉痛が出ていないから体は元気なのだと勘違いしてました。
これからはたとえ疲れて無いと感じても必ず休養は取るようにします。
人は食べなければ必ず体重は減る。
ダイエット目的で食事量を減らすと見た目は細くなるが、それ以上に内部はスカスカの状態になっているのだ。
胆石を患ったとき、手術の順番待ちで二ヶ月ほど絶食したが30キロ近く体重が落ちた事がある。
もし、そのときに長距離走などやっていたら間違いなく疲労骨折していたことだろう。
運動量に見合った栄養を取り、休む時はキチンと休む。
今回の出来事で得た教訓だ。
2019の夏は気休めの痛み止めを飲みながら部屋で大人しく過ごすことになり、年明けの東京マラソンまど夢のまた夢になってしまった。
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