山形に到着してから連日雪が続き市内はモノトーンの世界だったが、天気予報によると週末は快晴ということだ。せっかくの晴れの休日を部屋で過ごすのはもったいない。冬の蔵王は荒れ模様の日が多く晴れるのは珍しいということなので、ここは是非、蔵王に登らねば。
ということで、2021年の初登山は蔵王連峰の最高峰、熊野岳までトレッキング。蔵王名物のスノーモンスターに会いに行くことにした。
今回は、最高の登山と最悪の登山が隣り合わせだったお話。
久しぶりの冬山登山
この時期の蔵王は世界的に有名な樹氷が最盛期ということで、その異様な姿形からスノーモンスターと呼ばれている。
もちろん今は厳冬期、雪山用の完全装備で臨まないと万が一のリスクが十が一くらいに遭難確率が一気にUPする。実際、山形に到着した当日、吹雪の蔵王山頂、熊野岳付近で男性が遭難したニュースが地元のテレビニュースで流れていた。
それから数日が過ぎたが未だに発見されていないそうだ。
普段から出張の荷物と一緒に登山用具も持参しているが、例年この時期は繁忙期で休みが取れないため山に行く時間が取れなかった。そのため厳冬用期の山装備は持ってきていなかったのだが、今年は珍しく長期の東北出張となったので、ある程度の道具は持参していた。
問題は、雪山に必須のスノーシューをどうするか?ということだ
蔵王エリアはスキー用具のレンタル店はあるが、スノーシューのレンタル店はWEB上では探せなかった。最悪、ロープウェイの出口あたりを散策する程度で済まそうか、と思ってみたり、せっかくの雪の蔵王を楽しむためスノーシュー買っちゃう?と欲を出してみたり、年に一度行けるかどうかの雪山登山のために購入するかどうか思いあぐねていたところ、宿の近くにモンベルを発見。
店内で物色していると店員さんがレンタルもできますよ?と教えてくれた。
蔵王でスノーモンスター達に会ってこい!
天の声が聞こえた。
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密からの開放
前日まで降っていた雪は夜半頃には止んだようで、朝から雲ひとつ無い晴天だ。晴れ男バンザイ!
駅前のバスターミナルで始発を待っていると続々と客が並びだした。殆どがスキー、スノーボードの客だった。登山装備はかなり目立ったがバスの最後列に陣取ることができた。
バスは満席で、蔵王に向かう間はできるだけ息は潜めていた。
他の山域でバスを利用して登山口に向かう場合、1時間位かかることが多いが、山形駅から蔵王バスターミナルまでは30分ほどでついてしまう。
長期出張の間、休日毎に行ってもいいかな?と思えるほどアクセスがいい。
終点の蔵王バスターミナルを降りると山の冷気に一気に包まれた。純度の高い山の空気を思いっきり吸い込む。
ロープウェイ乗り場まで徒歩五分ほど。眩しいくらいの日差しを浴びながら向かうと駐車場には既に何台もの車が止まっていた。ロープウェイの始発が8時30分ということなので、それまで間、外でストレッチをしながら待つことにした。
その間も続々と車が到着し、切符売り場はあっという間に行列ができてしまった。
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100人乗りの大型ロープウェイは人数制限するのかと思ったが、係員がギリギリまで押し込んできた。まるで朝の通勤電車だ。思いっきり密状態で静かな車内だったが、駅舎から出た途端、それまで沈黙していた乗客のあちこちから歓声が上がる。
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冬のソナタ
中央ロープウェイの鳥兜山頂駅は標高1,260m、ここから熊野岳1,841mに向けスノートレッキングの始まりだ。
スキーヤー、スノーボーダー達があっという間にゲレンデに飛び出して行き、シュプールの跡を残しながら去っていくと、辺りはシンとした雪山独特の静けさに包まれた。
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装備の再点検と靴紐をしっかり締め直し、皆とは逆の方向へと一人ゆっくり歩き始める。
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樹林帯のなだらかなゲレンデを独り占めでサクサクと新雪を踏みしめながら歩いていく。
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昨日までの吹雪のおかげでサラサラのパウダースノーが降り積もり、時折吹く風に木々の間から雪煙が舞い上がる。
10年ほど前、深い悲しみからようやく立ち直るキッカケを与えてくれた晩秋の札幌での記憶が脳裏に蘇った。
目の前に広がる美しい景色を、そのまま美しいと感動できる素直な心。
うん、もう大丈夫。
脳内では昔懐かしい冬ソナのメロディーが無限ループしていた。
遂にモンスター現る
夏のコースタイムだと20分程度の距離だが、写真を撮りまくりながら1時間近くかけノンビリと散策していると、やがてひときわ巨大な樹氷が目の前現れた。
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ここから先はいよいよ本格的な登りに突入し、しばらく進むと「ざんげ坂」という急登が始まる。
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坂の途中で振り返ると、調子に乗って登ってしまってゴメンナサイと懺悔したくなるような急斜面だ。一度でも足を滑らせたら止まることなく一気に数百メートル下まで滑り落ちてしまうだろう。それでもチェーンスパイクを装着していたおかげでゲレンデの端をザクザクと快調に登り、息が上がる直前に休憩がてら後ろを振り返ると、絶景が刻一刻と変化していく。
![zangezaga-2](https://roadto-100.com/wp-content/uploads/2021/02/za-zangezaga-2-1024x576.jpg)
ノンビリと景色を堪能していたかったが、上からものすごい勢いで滑り降りてくる滑走者に恐怖を感じたのでゲレンデ横の新雪に踏み出ることにした。
途端、膝下くらいまでズッポリと埋まってしまった。
ここからはスノーシューの出番だ。
![snowshoes-2](https://roadto-100.com/wp-content/uploads/2021/02/snowshoes-2-1024x576.jpg)
ここで初めてスノーシューを装着し急斜面をズリズリと登り始める。効果は絶大で、サラサラのパウダースノーの上を滑り落ちることなく登っていける。
ペンギンになった気分で快適そのものだ。
辺りにはいよいよスノーモンスター達がそこかしこに出現し、その異様さに驚き、感嘆し、いろいろな想像力を掻き立てられながら登っていく。
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![snow-monster-2](https://roadto-100.com/wp-content/uploads/2021/02/xsnow-monster-2-1024x576.jpg.pagespeed.ic.U6jaWqob-S.jpg)
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やがてロープウェイの最高点、「地蔵山頂」駅にたどり着く。
予想以上の混雑具合だ。しかも国際色豊かであらゆる言語が飛び交っている。
さすが世界的に有名なスノーモンスター達の聖地だ。駅周辺は観光客姿の人達も大勢いた。
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ロープウェイやリフトで来られるのはここまで。
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ここから先は「地蔵山頂上」を経て蔵王の最高峰、「熊野岳」まで登山者の世界だ。ゲレンデ沿いのルートとはうって変わり、モンスター達に囲まれながら雪山のコブの中をスノーシューは快適に進んでいく。
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地蔵山頂上は蔵王ブルーの大パノラマ
ザリッ、ザリッとスノーシューの助けを借りながら程よく汗を書いた頃、地蔵山の山頂へ到着。
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「熊野岳」へと続くなだらかな稜線の左右に名だたる名峰が連なっている。
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![mt_jizo_peak-4](https://roadto-100.com/wp-content/uploads/2021/02/mt_jizo_peak-4-1024x576.jpg)
蔵王ブルーの吸い込まれそうな碧天の下、大絶景にしばし息を呑む。
やっぱ雪山は最高だ~~~!!!(、、、晴れていればね)
後編に続く、、、
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