旅ラン・ゆるラン・出張ラン -北海道の僻地を走ってきた-

出張・旅

片道30時間をかけて北海道の最西端への出張旅。何もない小さな町でも至るところに魅力が溢れていた。

町の老舗旅館

苫小牧でフェリーを下船し、特急で長万部駅まで進み、そこから更に路線バスに乗り換え北海道の最西端にある小さな町までの大移動。

今回の宿は昭和の風情が色濃く残る旅館。創業90年だそうな。
当初は通常プランで予約したが、その後、滞在日程が伸びることを伝えると、お得なビジネスプランはいかがかと提案された。朝と夕食にお昼の弁当付きと言うことだ。それでいて通常プランよりお値打ち料金。迷わずビジネスプランに変更した。

部屋に通されると、一気に昭和へタイムスリップしたかのような風情が色濃く残る、六畳ほどの和室だった。広すぎず、狭すぎず、仕事で泊まるには丁度よい広さ。

早速、珈琲を淹れまずは一休み。
ちゃぶ台のビニールクロスがTHE昭和のデザイン。意外なことにネットは爆速だった。仕事をしてキチンと眠るには十分な部屋だ。

布団に寝転がると窓の外では鳥たちが元気にさえずっていた。

旅館の食事

近隣には飲食店がほとんどなさそうだったので、三食とも旅館でいただくことにした。
観光目的の旅館の場合、それなりの金額を出せば豪華な食事が出てくるが、ビジネスプランだと街の定食屋さんのようなメニューが一般的だ。今回の宿は魚がメインのようで、それに肉の銅板焼きが付いてきた。

初日の夜のメニュー:刺し身、煮魚、焼き魚+肉の銅板焼き(何故か香の物はなし)

タンパク質、タンパク質、タンパク質+タンパク質、、、

筋トレマニアなら感泣もののメニューだ。
ビジネスプランなら十分な内容だろう。翌日以降はどのようなバリエーションになるのだろうか。出張旅にあって現地での食事は大切な気分転換だ。ささやかな楽しみを想像しながら、明日からの仕事に備えることにした。

翌朝、ビジネス旅館のお約束のような朝ごはんを食べていると、女将さんがお昼用のランチジャーを持たせてくれた。温かいご飯とポットに入れたお茶がありがたい。

で、仕事を終えて宿の食堂で晩ごはん。

初日と同じ、、、

素材は変われど、刺し身、煮魚、焼き魚+肉の銅板焼き。
タンパク質、タンパク質、タンパク質、、、

どうやら、この宿でバランスの良い食事を楽しむのは諦めたほうが良さそうだ。宿泊客には何が何でも運動して欲しいのだろう。

ならば、その期待に応えるとしよう。

休日の旅ラン

今回は土日が休みとなったので、朝から持参したランニングシューズに履き替えジョギングすることにした。

東京では散ってしまった桜が五分咲き程度に開花していた。それでも例年に比べ速い開花だそうな。
家の玄関先や街道沿いは至るところに花が植えられている。町をあげて花を植えているようだ。殺風景な街道沿いも色々な花が出迎えてくれるので、走っていて飽きることがない。

宿から五キロほど走ると、やがて海に出る。浜に出ると巨大な風車が出迎えてくれた。

海岸線に沿って延々と並べられており、海風を受け元気に回っている。人気のない砂浜は大小様々な流木が打ち上げられ、侘しさ満点だった。それでも潮風は心地よく、浜沿いをノンビリRUN。

浜沿いを北上し河口の水門を過ぎると、巨大な岩が現れた。
このエリアの観光名所で、三本杉岩という高さが30mほどの巨大な岩がニョッキリと生えている。ブラタモリなら、どうやってできたのかわかりやすく説明してくれるところだが、素人には成り立ちはわからない。とりあえずアレコレ想像の世界を楽しんだ。

三本杉岩を過ぎ、トンネルを潜ると地元の海水浴場にたどり着いた。ちょうどお昼時だったので、浜を眺められるドライブインの二階で小休止。

店内のピザ窯からは香ばしい匂いが漂っていたが、焼き上がりの順番が1時間待ちということだったので、コロッケを揚げてもらった。
熱々のコロッケを頬張りながら海をボンヤリ眺めていると、北海道最西端の海水浴場はオフシーズンということもあり寂しげな表情だが、それでも時折、観光客だろうか、浜で遊ぶ姿がチラホラと見受けられる。

小腹を満たした後は、海沿いの高台に登ってみる。

崖に沿って階段が刻まれており、標高80m程を一気に駆け登ると、目の前には360度の絶景が飛び込んできた。
芝生エリアではキャンプもできるようだ。まだシーズンではないらしく管理等は閉まっていたが、次回来る頃はオープンしてそうだ。見晴らしの良いキャンプ場なので、休みが取れたら泊まってみよう。

そんなこんなで北海道らしい絶景を堪能し、トータル20キロほどのゆるRUNを楽しんだ後、宿に戻った。

で、その日の晩ごはん。

相変わらず筋肉飯。

明日も走ってこいということなのだろう。

牧場のソフトクリームが食べたい。

翌朝、部屋でゆっくりと起きた後にグーグルマップをぼんやり眺めていると、片道7キロほどの所に牧場があり、売店で販売されている搾りたてのソフトクリームやチーズが高評価となっている。淡白な食事が続いているので、濃厚なソフトクリームやチーズの誘惑に抗うことはできない。

宿からはほぼ一本道。内陸部の直線道を北上し、牧場に行ってみることにした。

北海道らしい開放的な一本道をどこまでも進んでいく。行き交う車もなく、もちろん、人が歩いている気配もない。

やがて前方に白と黒のまだら模様が見えてきた。近づくと興味津々の素振りで牛たちが駆け寄ってくる。

道沿いにある牧場なのに、人が珍しいのだろうか。とても人懐っこく、警戒する素振りは見せない。調子に乗って順番に撫でていると、突然、太ももから全身に痙攣が走り体がのけぞった。同時に牛たちも飛び退いた。

近づきすぎて電気柵に触れてしまったようだ。人生初体験の電気ショックだった。
一瞬戸惑っていた牛たちだが、それでも再びそばに寄ってくる。これだけスキンシップをねだる牛はなかなかいない。

牧場に沿って道を進むと店舗らしい小屋が見えてきた。

ソフトクリームに期待を膨らませ入り口まで行くと、

閉まっていた、、、

休日でグーグルマップ上では営業中となっていたが、気まぐれなお店のようだ。観光客相手の店ではないらしい。それでも、ノンビリを飼われている牛たちは、幸せそうに草をはんでいるので、牧場としては良いのだろう。

人懐っこい牛たちに別れを告げ、来た道を引き返、トータル15キロほどのゆるRUNを楽しみ宿まで戻ることにした。

そして晩ごはん。

タンパク質、タンパク質、タンパク質、も一つオマケでタンパク質、、、

ハイハイ、さすがに連日同じメニューだと飽きてきたが、出張飯としては十分だ。二日続けて走り回った筋肉の疲労回復には大いに役立つことだろう。

5月末に再訪するが、次回は町に一つだけある温泉ホテルに泊まることにしよう。

北海道最西端、海辺の町。

何もない町だが色とりどりの花に溢れ、人懐っこい牛達が幸せそうに走り回る姿に出張疲れも癒やされた。

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