ホテル暮らし part4 -ソフト編-

yamagata_sunset 出張・旅

2ヶ月のホテル暮らしもそろそろゴールが見えてきた。
現在泊まっているホテルも1ヶ月以上の滞在となり、色々な面が見えてきた。

今回はハード面ではなくソフト面(接客)のお話。

ある日の出来事

建物のハード面は、狭い部屋、遅くて不安定なネット環境ということだけでも仕事で滞在するには不便を強いられる。本来なら仕事での宿選びの選択肢には入ってこない。
それでも狭いことは予めわかっていたので、それなりに工夫すれば済む。
ネットが不安定というのは今どきのホテルとしては致命的なので半ば諦めている。

問題は、ソフト面(従業員のレベル)だ。

こればっかりは実際に泊まってみないと評価することはできない。何事もなければチェックインとチェックアウトの数分間だけのやりとりなので、通常は余り気にすることはないのだが、長期滞在となると話は別。


平日は仕事モードで土日は休日。この流れが1ヶ月以上続いているのでホテルのスタッフはパターンを把握しているものと思っていた。

そんなある日、土曜日の早朝に朝ごはんの弁当を取りに行った際、Yシャツのクリーニングをお願いしようとフロントに寄ってみた。

jinjin
jinjin

今日、これから出せばクリーニングは間に合いますか?

えーっと、少々お待ち下さい、、、

ゴソゴソとフロントデスク周りを漁り始め資料を探しているのだろうか?
中年のオジサンの対応はテキパキとは程遠い。
なかなか返答がもらえなかったので、

jinjin
jinjin

わかったら教えて下さい。

と言って部屋に戻った。

朝食を終え一息ついて、ウォーキングに出かけることにした。
クリーニングのYシャツを携えロビーに降りフロントにyシャツを預けたところ、

今日、明日は受付していません

jinjin
jinjin

あれ?先週の土曜日は朝出して夕方受け取れましたけど?

本日は祝日扱いなのでやってないです。

jinjin
jinjin

え~~~ それならそれで内線で教えてくれればいいのに。

スイマセンでした。

jinjin
jinjin

近くにクリーニング店ありますか?

調べてみます。

近くのクリーニング店に電話で問い合わせをしてくれた。

今日は営業しているようです。

jinjin
jinjin

なら、そちらに出します。

ということでウォーキングのコース途中にある店に立ち寄った。

jinjin
jinjin

すいません、先程ホテルのフロントが問い合わせた者ですけど。

あ~お待ちしていました。受付しますね。

jinjin
jinjin

日曜の夕方には仕上がりますか?

え?今日、明日は工場が休みなので仕上がりは月曜の夕方になりますが?。

jinjin
jinjin

え~~~フロントの方が大丈夫ですと言っていたんですけど?

フロントの方には仕上がりは月曜だと、ちゃんと伝えましたよ?

(フロントはそんなことは一言も言ってなかった)

jinjin
jinjin

ならいいです~。

カウンターに広げたYシャツを再び袋に戻しホテルに引き返した。

jinjin
jinjin

月曜じゃないと仕上がらないと言われたんですけど!

はぁ?

jinjin
jinjin

店の人はフロントの方に伝えましたよ?と言っていましたけど?

・・・

憮然としながら納得がいかないような表情でこちらを見ていたので、
一瞬キレそうになったが、

jinjin
jinjin

早朝に問い合わせ、それから数時間も経っているのに何の連絡もなく、クリーニングが無理なら内線電話一本くれれば、こんな手間かけなくてもよかったのでは?

と諭すように言うと、

スイマセンでした。

言葉では謝罪しているが、瞳の奥はまったく反省していない。
洗濯物を部屋に戻し、改めてウォーキングに出ることにした。
以前だったらブチギレていた場面だが、最近はすっかり丸くなった。

トラブルが発生したら

直ぐに気持ちを切り替えウォーキングを開始しながら、道中、もし自分がフロントだったらどのような対応をしただろうかと考えていた。

早朝のフロントと朝のフロントとの間で連絡事項の引継ぎがうまくできてなかったのだろうか?
ケアレスミスは誰にでもある。そういった状況の場合、もし自分だったら、素直に謝罪し、プランBを提案するだろう。そのプランBがこちらに非があるような場合、さらにプランCを模索するだろう。

例えば、客がウォーキングから戻る間に、他のクリーニング店をリストアップしておく。
更に、今回のようにフロント側の不手際で客に何度も不便を強いるような結果になっているので、フロントでシャツを預かり、見つけ出したクリーニング店に持っていく。
くらいのことはやると思う。

その点、近場のクリーニング店に連絡を取ってくれたまでは良かったが、
週末に出すのは月曜の朝から着るためなのだ。
にもかかわらず、日曜までには仕上がらないという一番肝心なことを伝え忘れている。
さらに、その点について悪びれることもない態度はいただけない。

ウォーキングから戻っても視線を合わせることなく、ふてくされている。
仕方なく別のスタッフから鍵を貰うことになった。
なんのためのフロントの仕事をしているのだろうか?
出掛けに鍵を預かり帰ってきたら鍵を手渡す。
この程度の仕事なら小学生にでも出来ることだ。
今どきのホテルによってはロボットが対応しているところもあるくらいだ。

相手の立場に立ってみる

ホテルのマニュアルでは何か不手際が合った場合、
とりあえずスイマセンと言いましょう。
それで全て終了。

ということだろうか。

今までいろんな宿に泊まってきたが、このような対応で済まそうとする宿は結構多い。
例えば、仕事で外出している間に部屋で脱いであった服が無くなっていたり、モノを壊されていた事もあった。
今回の宿もルームメイクはかなりテキトーで、掃除機をかけたりかけなかったり、タオルや備品類の交換もしたりしなかったり、更にはモノが無くなっていることも。
フロントに何度か要望を出しても、あまり改善されているようには見受けられない。
昔だったらブチギレて、納得できる回答をもらえるまでは絶対に許さなかったが、最近は始めからホテルを選ぶようにして極力トラブルの素を回避していた。

当初、今回の長期出張の拠点を例え雪の中を通勤することになったとしても、山形駅前のホテルにしたのもそういう理由からだった。
このホテルは全国展開しているが、どこの地域で泊まっても要望やトラブルに対して、プランB、プランCを提案してくれて、客に不快な思いをさせるということが無い。
一言でいうと臨機応変な対応ができるということだ。
なので安心して泊まることができるのだ。
結果として、このホテルはビジネスマンが選ぶホテルランキングで常にベスト3に入っている。

そのホテルから今回のホテルへの移動は正直、不安がつきまとったが、その不安は的中することになった。主要都市に店舗を構えていることは共通しているが、他の地域で宿泊した際に快適に過ごせた記憶が無いのだ。
滞在中にどれだけ快適に過ごせるかどうか?という基準は、
部屋が広いとか狭いとか、新しいとか古いとかというハード面以前に、
スタッフがどれだけ泊まる側(相手)の立場に立って対応しているか?
判断基準は人なのだということを改めて痛感した。

接客業に共通すること

この視点はホテル業に限ったことではなく、接客全般、あるいは人と相対するような場面では最も重要なことだと思っている。
お金を貰って対価を得るということは、それが物であったり、食であったり、場所を提供するということであっても、肝心なのは相手がどれだけ満足しているか?
ということだ。
物も食も場所も、極端に言えばそのための手段なのだ。

それらがどんなに優れていても、たった一言、たった一度の対応で全てがブチ壊しになってしまうのを過去、何度も体験している。

トラブルはどんなときでも必ず発生するものと考え、大切なのはその時にどう対応できるか?
常に相手の立場に立って考えてみるということを意識していれば、事態が好転するキッカケはそのうち訪れるが、ボンヤリと日々過ごしていると、トラブルが発生した際、何故相手は怒っているのだろう?ということは永遠にわからないだろう。

気づきのキッカケ

今回のフロントスタッフは瞳が死んでいた。
少しでも瞳に光を宿していれば、その場で教えてあげたところだが、諦めた。
素直な心は瞳に表れるものだ。
このフロントスタッフが気づきのキッカケを得ることは恐らく無いだろう。

人はどんなときでも成長したり変化するキッカケはある。
特にトラブルに見舞われたような時はそのチャンスが大だ。
しかし、本人に向上心が無ければそのチャンスはあっという間に飛び去ってしまう。

今回の出張もゴールが見えてきた。従業員のレベルが低いのは仕方ない。
こちらで自衛しながら残りの滞在を気持ちよく過ごせるよう工夫しよう。

部屋でYシャツのアイロンがけをしながら鼻歌を歌うことにした。

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