真冬の札幌出張 -雪道で転倒しない歩き方-

出張・旅

晴天の札幌に戻ってくると旭川より暖かく、積もっていた雪もどんどん溶け所々ぬかるみができていた。雪国の道路事情は場所によって七変化するので、油断していると転倒して大怪我を負ってしまう。

普段、雪道歩きに慣れていない人が、雪の街を安全に歩ける方法を考えてみた。

晴天の雪まつりは転倒者続出

雪まつり初日、大通り公園の会場は雪像の周りを回遊魚方式に見物する仕組みで、大勢の観光客がゾロゾロと雪像の周りを歩きながら見物している。皆が同じ方向へ進むので、積もっていた雪が溶け、大勢の足で踏まれ圧雪されてスケートリンクのようにツルツルになっている。

関係者が時々通行を止めて氷を砕き、わざと路面を凸凹にして転倒防止対策を施しているが、大勢の人が歩くとあっという間にツルツルになってしまう。その上を雪道に慣れない観光客が次々と歩くので、思いっきり足を滑らせてスッ転んでいた。そんな光景が会場のあちこちで繰り広げられていた。

雪国の道路事情

雪国の路面状況は刻一刻と変化する。札幌のような市街地だと以下のような状況があちこちに再現されている。

・道路むき出し:ロードヒーティングが効いている場所は無雪期と同じ

・雪の降り始め:アスファルトがまだ見える

・積雪:路面が雪で覆われ、表面が真っ白

・圧雪:積もった雪が押し固められツルツル直前

・凍結路:積雪と圧雪が繰り返され、スケートリンク

・シャーベット:気温が上がり雪と氷が混じり合った状態

・ぬかるみ:氷が完全に溶け茶色い泥水

実に様々な状況が場所によってコロコロ変わるので、状況に応じた靴を履いていないと転倒必至だ。特にアイスバーンは最強の凶器と化し歩行者に牙を向いてくる。

あらゆる状況に一番適しているのは防水のスノーブーツが当てはまるが、雪国在住でもなければ下駄箱の肥やしになってしまう。東京からたまに出張するような場合は、普段履いている靴で対応できればそれに越したことはないが、それ以前に、まずは転びにくい歩き方をマスターしよう。

雪国から無事に生還する歩き方

普段から速歩きでスタコラ歩くウォーキングモードだと、自然と歩幅が大きくなり、カカトから着地するフォームになるが、この歩き方だと雪国では間違いなく転倒する。それもかなりの確率で派手に宙を舞い、最悪、後頭部を強打して病院直行だ。子供の頃の悪夢が蘇る

転倒して怪我を負わずに雪国から無事に生還したいのなら

ペンギン歩きが大原則!

できるだけ歩幅を小さくし、足を下ろす時はカカト着地ではなく足裏全面を使って静かに着地させる。チョコペタチョコペタと歩くので見た目カッコ悪いが、これだけは最低限守ろう。

両手は空けておく

ペンギン歩きをマスターしてチョコペタチョコペタと歩けるようになっても、寒いからと手をポケットに入れていると、転倒したときに手で受け身が取れず、腰を強打して痛い思いをする。最悪、骨折してしまうことも。

ながらスマホ厳禁

滑ったときにスマホが手から離れ、どこかにすっ飛んでいく。見知らぬ場所へ来た時はmapアプリを確認しながら歩きがちだが、都度、立ち止まって見るようにしよう。

現地の人の歩き方をよく観察してみると、小さい歩幅でリュックや肩掛けショルダーを利用して必ず両手を空けているし、路面状況を常にウォッチしながら歩いているので、ながらスマホもしていない。

これらを意識するだけでも、無事に生還できる確率がグッと上がる。

それでも転ぶ時は転ぶ

仕事先での昼休みに街中を歩いていると、おじいさんが顔面血だらけで横たわっている場面に出くわした。

周りの人に抱えられ、足を投げ出した状態で上半身までは起こすことができたが、そこからは身じろぎ一つできない状態だった。傍らにはおじいさんが使っていた杖が投げ出されたままだった。

転倒時の状況を想像してみると、杖を突きながら前かがみで歩行中に路面状況が変わったところで杖が滑り、前のめりに転倒、受け身を取る時間もなく顔面から路面に強打してしまったようだ。積雪の歩道とアイスバーンと化した車道の境目は超危険なエリアだ。

たまたま病院横の歩道だったので、看護師が数人飛び出してきて意識を確認していたが無反応。数人がかりで車椅子に何とか乗せ、そのまま院内に搬送されていった。このまま寝たきりにならないことを祈ろう。

地元で何十年も生き抜いてきた老人でさえ転ぶ時は転ぶ。しかも大怪我を負った状態で。雪道の素人は細心の注意を払って歩くようにしよう。

靴にこだわる

今回の出張では二種類の靴を当日の天候や路面状況に合わせて履き替えている。

  メレル サロモン

品名

JUNGLE MOC ICE+ OUTRISE GORE-TEX

カテゴリー

ジャングルモックのスノーバージョン ハイキングシューズ
特徴 ビブラム・ソール採用の靴底に散りばめられた水色のチップが雪面に食い込むようになっており、通常のジャングルモックより強力なグリップ力を発揮する。 ゴアテックス生地採用の完全防水ハイキングシューズ
デザイン メレルはレザーを使用しているので、仕事先でも浮くことはなく、サロモンも登山靴にありがちなゴテゴテしたデザインではなくシンプルなタイプ。雪の降らない都内でも問題なく使用できるので、年に一度あるかないかの雪の日対策として普段履きできる。どちらもブラックの落ち着いたデザインでフォーマル以外のビジネスシューズとしてならOK
路面適応度
降りはじめ ★★★★★ ★★★★★
積雪 ★★★★★ ★★★★★
圧雪 ★★★★ ★★★★
凍結路 ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
シャーベット ★★☆☆☆ ★★★★★
ぬかるみ ☆☆☆☆☆ ★★★★★

どちらも雪面では抜群のグリップ力を発揮し、スリップすることはなかった。

サロモンは表面がGORE-TEX生地のため、シャーベット状の道やぬかるみの中をバシャバシャと歩いても冷たい水が染みることもなく、安心して歩くことができる。

一方のメレルは表面が革なので、防水クリームを塗っておけばある程度は防水性を発揮するが、それでも暫く歩いていると冷たい氷水が中まで染みてくる。

今回の路面状況で一番差が付いたのは凍結路。アイスバーンのグリップ力だった。

サロモンは氷の上でのグリップ力はゼロに等しく、あらゆる方向に靴が滑ってしまう。実際、雪まつりの大通公園を歩いていて雪面からアイスバーンに切り替わった瞬間、それまでガツガツと効いていたグリップ力が失われ、ツルンと靴底が滑り転倒してしまった。

大きな交差点をショートカットで斜めに進みたいような状況だと、車のタイヤで固められたアイスバーンで転倒する可能性大だ。天国へのショートカットになってしまう。

その点、メレルのグリップはアイスバーン対応ということで、靴底の水色の硬いチップがスパイクの役目を果たし、ペンギン歩きをしている限り滑らずに歩くことができた。それでもちょっと油断して大股になったり、カカトから着地したりすると、ツルンとまではいかないまでもツルっと滑る事もしばしばあった。

こうしてみると、総合力ではサロモンのトレランに軍配が上がるが、アイスバーンだけはどうしようもない。

転ばぬ先の爪

チェーンスパイクを装着すれば解決!

見た目大げさだが、登山で使っているチェーンスパイクを装着すれば氷の上でもガツガツと問題なく歩くことができる。

チェーンスパイクは数年前から急速に普及してきた。

それまではつま先とカカトに輪っか状のゴムを引っ掛けるだけのタイプを使っていたが、歩いている途中で外れてしまい、気づかずに転倒してしまったので、以降は登山で使っているチェーンスパイクを使用している。雪山登山では通常はアイゼンを装着するが、森林限界手前で積雪がそれほどでもない状況だとオーバースペックだったりする。着脱も面倒慣れないうちは結構めんどくさかったり。

その点、チェーンスパイクは着脱も簡単で携帯性にも優れるので、冬の奥多摩くらいの登山ではアイゼンよりもこちらを使うようになった。

普段のウォーキングは8分前半/kmくらいのペースが雪道だと10分前半/km、そこにチェーンスパイクを装着すると、どんな路面状況でも気にすることなく9分前半くらいで歩き回れるので、今回の出張では大活躍している。

屋内では要注意

特にコンビニの店内は入った瞬間スケートリンクになる。しかも前後方向だけではなく、360度方向に滑るので、チェーンスパイクを装着している時はコンビニなどに入店する時は細心の注意を払おう。ただ、着脱も容易なので、駅ビルなどに長時間入店するような状況では外してからカバンにしまっている。

というわけで、雪国への出張は先ずはペンギン歩き、靴に関しては外を歩き回らないような、市街地の道路状況ではメレルでOK。ウォーキングを楽しみたい場合はサロモン、更に登山道入口程度の坂道が想定されるならチェーンスパイクを装着という順番で靴を選べば、怪我をせずに出張から戻ってこられる。

札幌出張もそろそろ終盤。怪我なく無事に戻れるよう、日々慎重に歩いていこう。

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