世界遺産の島で鹿と戯れたキャンプ -包ヶ浦自然公園キャンプ場-

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 出張の合間に訪れた瀬戸内海キャンプ紀行。最終日は世界遺産の島にある【包ヶ浦自然公園キャンプ場】で鹿のイタズラを横目に楽しんできた。

宮島にある唯一のキャンプ場

 野呂山キャンプ場を後にし、再び呉線に乗り西へ向かう。次の出張先である広島を過ぎ宮島口で下車。そこから再び渡し船に乗り、今回のキャンプ紀行最終目的地、世界遺産の厳島神社がある宮島へ向かう。

 桟橋は初日の大久野島へ向かう忠海の船着き場とは違い、ひっきりなしにフェリーが行きかい活気に溢れていた。珈琲豆が切れてしまったので、乗船前にターミナル内のお洒落な珈琲店で一服がてら豆を調達。

 お昼前に宮島に上陸。大久野島ではウサギ達が出迎えてくれたが、宮島では鹿達が出迎えてくれた。キャンプ場のチェックインまで時間があったので散策タイムとなったが、平日にも関わらず国際色豊かな観光客で溢れていた。さすが世界遺産の島だ。

 残念ながら厳島神社の大鳥居は改修中ということで養生されており、その姿を眺めることができなかった。神社境内はあまりの人混みだったので参拝は諦めた。潮の状態によっては鳥居まで歩いていけるのだが、この日は遠目に眺めるだけだった。

たとえお腹を壊そうとも

 小一時間ほど散策していると腹の虫が元気に騒ぎ出す。大好物の牡蠣料理を求めてアーケード街へ。

 美味いーー~!!!

 牡蠣づくしのランチはかなりのボリュームだったが、追加で焼き牡蠣も注文してしまった。

 近年、広島の牡蠣は水質汚染の影響で生では提供しなくなったようだ。どんなに新鮮でも必ずウィルスが潜んでいるので、加熱してから提供しているらしい。それでも美味いものは美味い。

 以前、仙台の友人から生牡蠣を送ってもらった時、あまりの旨さに妻と二人で軍艦巻きにして食べまくったが、その夜に見事に大当たりしてしまった。明け方まで二人で上から下から出しまくった記憶が脳裏をよぎる。その後、なんとか二人で這うようにして病院に行ったが、生牡蠣を二十個近く食べたことを告げると、先生に呆れられてしまった。

 それ以降、妻は牡蠣を口にすることはなくなった。一方、自分はそれでも相変わらず牡蠣には目がない。冬の瀬戸内海出張では海沿いの牡蠣小屋でたらふく食べることもあるが、不思議とそれ以降当たったことはない。牡蠣のウィルスに耐性がついたのかも知れない。

 久しぶりの牡蠣料理を楽しんだ後、砂浜をのんびり歩きながら再びフェリーターミナルに向かう。今回のキャンプ場は宮島の東側エリア、包ヶ浦海岸に隣接した公園内にあるため、ターミナルからは海沿いの道を3.5キロほどでたどり着くことができる。歩いても十分行ける距離だが、夏の日差しと昼ご飯を食べた後なので、乗合バスに乗って行くことにした。

鹿にいたずらされるキャンプ場

 海岸からなだらかな坂道を登り管理棟で受付を済ます。今回のキャンプ場は林の中のフリーサイト。広い敷地内はまだ誰もいなかったので好きな場所に設営することができた。

 一服していると、他のキャンパーが到着し、なぜか眼の前のすぐ近くに設営しだした。広い敷地内はまだいくらでもスペースがあるのに、キャンプ場でもトナラー問題は発生するようだ。 どうやらソロキャンのようだが、それにしても大きなテントとタープだ。

ねぇ、見てみて~ と自慢しているかのようだった。

 その後も続々とキャンパーがやってきてテントを設営しだしたので、浜辺まで散策することにした。キャンプ場と浜辺の間にはサッカー場も併設されており、鹿の群れがのんびりと芝生を食べていた。大久野島のウサギほどには図々しくないようで、一定の距離まで近づくとさりげなく離れていった。

 包ヶ浦の砂浜は観光エリアから離れているので観光客は殆どおらず、夏の終わりの静かな浜辺は心地よい海風と相まって散策にうってつけだ。

 夕食はターミナル前にあるホテルのベーカリーで調達した牡蠣缶とキッシュ、トマト味のカレーで軽く済ませた。野呂山でYに作ってもらったカレーには及ばないが、牡蠣とキッシュはとても美味かった。

 テント泊を楽しむようになってからは、出張合間の休日に観光ホテルに泊まる機会はめっきり減ったが、このホテルは機会があれば泊まってみたくなるような雰囲気だった。

 夕暮れ時、あちこちのテントからいい匂いが漂ってくると、鹿がウロウロとテント近くまでやってきて様子を伺っている。観光エリアの人馴れした鹿とは違い、ここでは人に近づいてくるような気配はない。それでも辺りの匂いを盛んに嗅いでいたので、テント前にクッカー類を出しっぱなしにしておくのはやめておこう。

 夕食後の散策。砂浜まで出ると、見事な満月が穏やかな瀬戸内の海を照らしていた。観光地の賑やかさとは無縁の、静かなキャンプ場の夜が更けていった。

 翌朝、トナラーキャンパーの怒声で目が覚めた。夜の間に鹿がテントとタープにオシッコをひっかけたようで、せっかくの高級テントがオシッコまみれになっていた。牡鹿だったのでマーキングされたのだろう。更には、出しっぱなしにしていたクッカー類を荒らされてしまったらしく、朝ごはん用に取っておいた食材などがテントの周りにぶち撒かれていた。

 犯人らしき牡鹿はテント周りを彷徨いていたが、人間が近寄ると微妙に距離を取っていく。観光エリアの鹿ほどには人間慣れしていないのだろう。

 幸い、自分のテント周りは荒らされた形跡はなかった。以前、狸に登山靴を盗まれた教訓から、寝る前にテント周りを片付けておいたのが幸いしたようだ。このエリアの縄張りを荒らしているのは、鹿ではなくキャンパーの方だ。うっかりミスから荒らされてしまったのなら仕方ないと諦めよう。

 ブツクサと毒づきながらテントを撤収し始めたキャンパーをよそに、浜辺まで散策をおこない、クッキーを頬張りながらテキパキと撤収しキャンプ場を後にした。

 帰路、宮島口に戻ると猛然と腹が減ってきた。乗り場近くのイタ飯屋から香ばしい香りが漂ってきたのでフラフラと入店。

 特に期待していなかったが、トマトパスタとガーリックの効いたバゲットが予想以上に美味かった。

 腹を満たした後は広島市内のホテルにチェックインし、大浴場で汗を流した後は仕事モードに頭を切り替える。

 瀬戸内の海沿いを電車で移動しながら、特色のあるキャンプ場で過ごした休日。大久野島ではウサギ達の可愛さ悶絶し、野呂山でオッサンの手料理を堪能し、世界遺産の島で鹿のイタズラを間近に楽しめた。それぞれのキャンプ場が個性的で、思い出に残るキャンプだった。

※包ヶ浦キャンプ場は2024年に閉鎖されてしまったようだ。宮島でキャンプができる場所はもう無い。

 噂によると、広大な敷地は大型リゾートホテルに様変わりするらしい。世界遺産エリアから外れた静かな場所だっただけに、キャンプ場が閉鎖されてしまったのは残念でならない。各地の観光エリアは今後もどんどんホテル建設ラッシュが続くのだろうか。インバウンドのピークが過ぎ観光客が減ったら、ホテルなどの箱物は無用の長物となってしまう。廃墟となった各地の観光エリアの二の舞いにならないことを願おう。

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