20年以上全国を飛び回っていると、それなりに現地で快適に過ごす知恵がついてくる。
今回は出張先のホテルや現地で美味い珈琲を飲む方法。
備品で済ますか持参するか
宿で温かい飲み物や軽い食事を摂りたい時は、部屋に備え付けの湯沸かしポットでお茶を淹れたり、カップラーメンの湯を沸かすことはできる。
しかし、部屋以外でも、例えば、僻地で次の電車やバスが来るまで1時間以上空いてしまったり、きれいな公園や景色のなかで珈琲でも飲みながらマッタリしたい時は?
そんな時、コンパクトなクッカーがあればご当地の景色を楽しみながら熱々の珈琲味わうことができる。
登山や、キャンプでは色々なクッカーを目的別に組み合わせて使っているが、今回は、最低限、出張時に必ず持っていく組み合わせをご紹介。
収納ポーチ
メインのクッカー類を決める前にこのポーチをしょっぱなに持ってきたのにはわけがある。
発売当時、友人にプレゼントしたポーチで、使いやすいととても喜んでもらえた。それまでは登山で使うスタッフサックに一式を入れていたが、ペナペナの薄い生地なので使っているとあっという間にボロボロになってくる。
その点、このポーチは丈夫な生地を使っているので耐久性は問題なし。スタッフサックよりは重いが、たかが知れている。更に内部に仕切りが付いているため珈琲ペーパーや予備のジップロック等のシート類の収まりもいい。ループも付いているので、このポーチに一式を入れておけば、バッグの奥の方にしまい込んでもすぐに取り出せたり、掛けておけたりと、必須のクッカー類をいろんなカバンやザックにポンと入れ替えるのに実に使い勝手のいいサイズのポーチなのだ。
なので、登山、キャンプ以外で、荷物を出来るだけ抑えたい出張時にもコンパクトなこのポーチを基準に中身を決めることになった。
このポーチに入るクッカー類の最適な組み合わせが以下のグッズ類だ。
熱源
何はなくとも、火を起こせなければ熱い珈琲を飲むことができない。
ガス缶にするかアルコールストーブにするか悩ましいとこだが、
ガス缶+バーナーのメリット
・火力が強い
・火力の調整ができる
ガス缶+バーナーのデメリット
・うるさい
・嵩張る
・機内持ち込み禁止
・場所によっては現地で手に入らない
アルコールストーブのメリット
・コンパクト
・故障が少ない
・僻地でも燃料のアルコールはドラッグストアで購入可
・少量なら飛行機持ち込みOK
・ほぼ無音
アルコールストーブのデメリット
・火力がガス缶より弱い
・火力調整ができない
・風に弱い
熱源を使う状況
旅の宿では風の心配は無用。煮炊きなどの凝った調理はせず、湯を沸かすことがメイン。野外でも、真冬の登山やキャンプで大量のお湯を沸かしたいような場合はアルストだと時間が掛かるが、それ以外の季節なら許容範囲。
どちらを選ぶかは好みの問題だが、湯を沸かすということに限定し、飛行機に乗る機会がある場合は、アルストに軍配!
アルコールストーブ
というわけで、出張、日帰り登山などで、お湯を沸かす熱源はアルストに決定
大本命はこちらだろう。
EVERNEW チタンアルコールストーブ EBY254
アルストには珍しく、五徳がなくても直置き可能で、また、直置きにすると炎が弱火になるというアイデアものの一品だ。キャンプなどでご飯を食べたい場合は、クッカーを直置きするだけで程よい火加減になり失敗することなくご飯を炊けるので、使い勝手は非常に良い。
もし、初めての購入を検討している場合はこちらを選べば間違いない。
※アルストの元祖といえばtrangiaだが、選択肢候補に挙げなかったのは以下の理由。
・蓋が付いているが、しっかり締めても漏れる
・せっかくなのでチタンで揃えたい
・壊れる
意外かも知れないが、2シーズンほど使っていたら内側の筒に亀裂が入り、不安定な燃焼になってしまった。真冬や真夏などの極端な温度変化を起こすような環境下で繰り返し燃焼させたり消したりしていたら、その温度差で金属疲労が起こったようだ。
故障しにくいことがアルストの特徴だが、壊れるときは壊れる。
ということで、それ以降、よりシンプルな形状、素材のアルストにシフトした。
TOAKS チタンアルコールストーブ+X–meshの組み合わせ
EVERNEWは火が着いてから本燃焼まで30秒ほどかかる。本燃焼する前はとても儚い炎なので、クッカーを乗せると炎が消えてしまったり、クシャミをするだけでも消えてしまう。TOAKSは着火後、すぐに本燃焼してくれる。アルストの炎は一度本燃焼しだすと少々の風では消えないのだ。
サイズも圧倒的に小さいのでスタッキングした際の隙間空間を有効活用できる。
火種がなければ火は着かない
火花を飛ばさないとアルストは燃焼しない。
喫煙者なら百円ライターで足りるが、ZIPPOは下方向への着火は難しい。また、飛行機利用の場合、空港の検査で没収される可能性がある。預け荷物にうっかり入れっぱなしだと搭乗直前に呼び止められて、再検査されることもある。
その点、ファイヤスターターがあれば非喫煙者でも火花を飛ばすことができるし、没取されることもない。
因みに、機内へは百円ライター一個までは持ち込みOKなので、アウトドアを趣味にするのならタバコを吸わなくとも火種は必須だ。
UCOのファイヤースターターは単純に色味とデザインが気に入ってるが、火種を飛ばすのに両手を使う必要がある。右のファイヤースターターは片手で火花を飛ばすことができる。UCOより更に小さいので最近はこちらに乗り換えた。とは言え、どちらもクッカー内に放り込んでおけるので、あとは好き好き。
燃料ボトル
3回程度の湯沸かしならナルゲンの60mlあたりが定番だろう。百均にも似たようなボトルがあるが、液漏れが怖いので信頼のナルゲンがオススメ。それ以上の容量となるとスクリューキャップのアルミ缶が嵩張らない。200ml程度ならポーチに収まる。
これでも足りないときは、trangiaのフューエルボトルを使っている。
持っていくときは裸の状態でカバンに放り込んでも液漏れ一切なし。10年以上使っているが、信頼できる燃料ボトルだ。
が、さすがにこの大きさだとポーチには入らない。
もし燃料を忘れたとしても、燃料アルコールは全国のドラッグストアでだいたい取り扱っているので、旅先のドラッグストアで調達できる。ただ、500mlなので、燃料を使い切れなかったとしても帰りの飛行機では没収、廃棄の恐れ有り。
最近は燃料アルコールも値段が上がってきたので、まとめて購入したほうがコスパが良い。
クッカー
snow peak 極 チタン(旧バージョン)
300mlのマグカップ付きで110サイズのガス缶、バーナーの収まりもよく、水も800l程度入るので棒ラーメンが余裕で作れる。カトラリー類の小物も収納できるので、今でも縦走登山などでは大活躍している。
ただ、一回分の珈琲用の湯沸かしにはちと大きいし。またマグカップが300mlなのは微妙に小さい。
ニューバージョンはマグカップの容量がアップし使い勝手が良くなったようだ。
初めてソロクッカーの購入を検討しているなら選択肢の一つだろう。
ただ、今回のポーチに全てを収めるとなると話は別だ。
出張メインの場合は更にコンパクトなクッカーに役割を譲ることとなった。
EVERNEW チタンポット500
アルストの風防としてX-meshを使用する場合は神フィット。
底面の段差がX-MESHとぴったり嵌り、安定して置くことができる。
使用感などは過去記事参照
もう一つのポイントはEVERNEWのクッカーは注ぎ口があることだ。
他のクッカーは単純な円筒形が多いが、この注ぎ口があるおかげでお湯を細く静かに、垂れることなく注ぐことができるのだ。
美味い珈琲を淹れるポイント!
登山でも日帰りや一泊程度のソロ用途としては、これがあれば事足りるくらいの絶妙なデザイン、大きさで、ULソロクッカーの完成形ではなかろうか。
※最近、ニューバージョンが発売された 追記参照↓↓↓
ここまでで適切な量のお湯を沸かすことは叶った。
マグカップ
部屋のコップでいい場合は必要ないが、宿によって形状や素材が違う。使い慣れた自分のコップで飲みたい場合はクッカーとのスタッキングを考慮する必要がある。
アウトドアのド定番。
登山を始めた頃は使っていたが、今では自宅専用になっている。
デザインはいいのだが、取手が微妙に持ちにくいのだ。
更に、EVERNEW 500mlとはスタッキングできない。
シリーズで揃えると容量違いでマトリョーシカも楽しめるが、600mlはデカすぎるし、300mlだと小さい。
売れ筋の450mlは微妙なサイズで、一杯分の珈琲には大きすぎ、カップヌードルのビッグ用の湯量にはギリギリで、うっかりすると吹きこぼれる。
それでも、カップ一つと固形燃料だけという最もシンプルな組み合わせなら十分に役目を果たしてくれる。
因みに、以前は専用の蓋が無かった。そのため違うメーカーの蓋をあれこれ物色することになり、グッズ沼にハマる第一歩を踏み出すことになったが、最近、ようやく専用の蓋が販売されたようだ。
形はいいし各種サイズ展開をしていているので、スノピ好きならこのシリーズで揃えると統一感がでるだろう。
とはいえ、カップ一つで全てを賄わなければならない極限状態の出張は行きたくない。やはり部屋では珈琲専用のカップに湯を注ぎ、ゆったりと飲みたい。
300ml以下では物足りないし、400ml以上では大きすぎる。
TOAKS 375ml
ハンドルがスノーピークより持ちやすく、お手頃なサイズで使い勝手が凄くいい。
別売の蓋はX-meshにピッタリと載せられるので、缶詰などの保温も可能だ(スノピの蓋はシリコンなので直火は不可)。
これでクッカー内にアルスト、燃料、火種、五徳兼風防、マグカップを収納できた。適量の湯を沸かしカップ麺を食べ、食後にお気に入りのマグカップでインスタントコーヒーを飲むことはできる。
挽きたての珈琲が飲みたい
インスタントのスティックコーヒーも最近はそれなりに美味い種類が出回ってきたが、やはり挽きたてには敵わない。自宅で豆を挽いてジップロックに入れてくるだけでも美味いが、時間が経つと風味が損なわれる。毎回、飲む直前に珈琲ミルで豆を挽きたいのだ。
コーヒーミル
最近はキャンプブームのお陰でコンパクトな珈琲ミルも色々なタイプが出回ってきた。しかし、小型で嵩張らないデザインだと限られてくる。
CAPTAIN STAG ハンディ コーヒーミル
最重要視したのは高さ。ポーチに収まる高さのミルがこれしかなかった。購入するか最後まで迷ったミルもあったが、高さオーバーで脱落。
高さ以外のポイント。
ミル歯の素材は金属歯を使っているのが一般的だが、こちらはセラミック。特徴として、金属歯と違い熱が発生しにくい=豆が熱で劣化しにくいことが挙げられる。当初の購入候補もセラミックの歯だった。
購入当時はハンドルを固定するバンドが付いていなかったので本体に輪ゴムで固定していたが、その後に発売された改良版にはハンドルを固定できるデザインに変わった。メーカーに問い合わせたらハンドル固定パーツだけ別売してもらえた。これで使わないときの収まりが良くなった。
珈琲ドリッパー&ドリッパー置き
GSI ウルトラライト ジャバドリップ
購入時はフィルター部だけで下部のドリッパーは着いていなかったような。最近、セット販売するようになったのだろうか。
それまではmont-bell O.D.コンパクトドリッパーを使っていた。
非常にコンパクトにまとまるので良かったのだが、
・使用時に箸or小枝でドリッパーを固定しないとカップに載せられない
・カップに載せるだけなので、野外で使う場合は風が吹くと飛んでいってしまうことがあった。
・カップに半分ほど浸った状態になるため、分量が分かりづらい
といった不満があった。
GSIは箸などの余計なパーツを付けなくてもいいし、カップにしっかりと固定できるので、お湯を注ぐときも風が吹いていても安心して注ぐことができる。
因みに、モンベルもGSIも、紙のフィルターをかまさなくても美味しく抽出できる素材を使っているが、抽出後の粉の処理が面倒なので、ペーパーフィルターを入れて使用している。
SEA TO SUMMIT X-カップ
じか置きだと残ったコーヒー汁が机に垂れてしまう。野外だと風に吹かれて飛んでいってしまう。
こちらにドリッパーがカポッと収まる。食事中は味噌汁のカップとして利用し、食後の珈琲時にはドリッパー入れとして机を汚すことなく置いておける。
直径がエバニューと同じなので、しまうときは折りたたみ重ねて収納できる。
以上、カップヌードルビッグサイズまでを想定した湯沸かし、おにぎり用の味噌汁カップ、そして食後の珈琲までを想定したクッカー類一式がこちら
カトラリー
これだけ収納しても収納ポーチには余裕があるので更にオマケを入れてみた。
コンビニやスーパーで弁当を買ったら箸が付いてくるが、まれに付け忘れたりする店員もいたりする。カップ麺の湯を入れ終わったあとに箸が無いことに気づいたら途方に暮れてしまう。
ポーチにカトラリーを入れておけば悲しい思いをしなくて済む。
百均で揃えることもできるが、長く使いたいならこちらがオススメ
montbell スタックイン 野箸
なにより先端に黒檀を使っているので口当たりが良い。
先端を引き出すタイプや差し込むタイプは使用中に引っ込んでしまったり抜けてしまったりすることがあるので、微妙にイラつく。
この箸はネジ式になっているため、使用中に緩むこともなく役目を果たしてくれる。
持ち手が円形だと握りやすいが、転がってベッドの下に隠れてしまうこともある。
この箸は持ち手の部分を微妙に凹ませてあるので、転がりにくい作りになっている。さらに乾きやすいように穴が開いているので内部に水が溜まりにくい構造だ。収納時は小さくしまえ、ネジで固定するので飛び出てくることもない。
以前は単体で購入したが、直営サイトでは先端をスプーンやフォークに付け替えられるタイプもセットで販売している。
単体はケースが厚めのナイロンだが、こちらは通気性の良い生地を使っている。
箸、スプーン、フォークの問題はこれで解決。
調味料入れ
塩、胡椒があればクッカーでゆで卵を作り、塩を振って食べたり、惣菜に胡椒をかけるだけで味が引きしまる。最も基本的な調味料も小型のミルがあれば新鮮な味と香りを楽しむことができる。
ポーレックスセラミック スパイスミル3
高さが10センチほどの最小ミル。こちらもセラミックの歯を使っているので風味が損なわれない。
以上で、お気に入りのポーチに熱源、燃料、クッカー、マグカップ、スープカップ、珈琲ミル、ドリッパー、珈琲豆、カトラリー、塩、胡椒、+αが全て収まった。
出張、旅行時に美味い珈琲を飲みたい欲求はこれで完結。
この組み合わせを出張カバンに放り込み日本全国を飛び回っている。これ以上の組み合わせは今のところ思いつかない。
いよいよコロナ明けの新年度が始まった。人々の移動も盛んになることだろう。
出張がちな部署に配属された時、この記事が参考になればと思う。
追記 2023年9月現在
エバニューのTi Mug pot 500にニューバージョンが加わった。
容量やサイズに大きな変更はないが、ポッド底面がフラットに変わってしまった。
旧ポッドの最大の特徴は底面が段差になっていることだ。この段差があるおかげでX-MESH Largeがピタリと嵌り、安定して使うことができる。
因みに、この段差はX-MESHのために作られたのではなく、純正品のスタンドと併用することを想定して作られている。
さすが純正品だけあって作り込みなどは非常に手が込んでおり、純正のアルストもピッタリと収まるのでポチる寸前まで行ったが、組み立てが面倒なのとマグカップなどのスタッキングができないので様子見となっていた。
そうこうしているうちにX-MESHが販売されて、圧倒的な使い勝手の良さから今に至っている。
同社のニューバージョンはこの段差が無くなりフラットになっている。
底面に段差が無いほうが内部のデッドスペースが無くなるので、掃除が楽だし、スタッキングの幅が広がる。汎用性が大幅UPしたので、X-MESHに限定しないのであれば、より使いやすいポッドとして人気が出ることだろう。
一方、X-MESHと使用するときは段差に嵌めるのではなく、載せるだけなので、安定性が損なわれてしまう。数ミリの違いだが、載せただけだとちょっとした加減でポットがずれて、最悪ひっくり返ってしまう。
ガスを使用している場合は単に中のお湯が飛び散るだけで済むが、アルコールストーブを使用している場合は、最悪、アルコールストーブがひっくり返り、あたり一面火の海になる危険性をはらんでいる(経験済み)。
水平が取れにくいような野外だとその危険性は一気に増す。屋内であっても、より慎重に置かないと部屋が火事になる。
X-MESHユーザーとしては旧ポッドのほうに軍配が上がるが、アマゾンなどでは法外な値段となっている。今のところ純正スタンドが販売されているので廃盤になることはないだろうから、値段が落ち着くまで待ってみるか。あるいは、汎用性の高い新版ポッドにするか。
どちらにしても、湯沸かしメインのミニマムポッドとして使うなら最有力候補であることには間違いない。
※くれぐれも部屋を汚したままにしないよう、
自己責任で!
もし破損させてしまった場合などは
全額弁償する覚悟を忘れずに!
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