ナンパされたり痴漢に遭ったり -自分の欲望を押しつけてはいけない!-

日本を代表する巨大企業のトップが、多くの未成年を何十年にも渡って蹂躙し続ける。鬼畜の所業がようやく、ようやく断罪されることになった。

性別を問わず、どんな行為であっても大人同士が同意の上ならなんの問題もないのだが、未成年に対しては、同意の有無を問わず、欲望のままに蹂躙することは断じて許されることではない。

猛暑の夏、部屋に引きこもり今回の騒動を観ていたら、二十歳前後に遭遇した出来事を思い出した。

イケメンなオジサンにナンパされた

19歳、高校を卒業して設計施工の仕事をしていたときの出来事。

現場からの仕事帰り、夕闇迫る駅のベンチに腰掛け一服しながらボーッとしていた(昭和の時代は駅のホームにも当たり前に灰皿が置いてあった)。連日、徹夜で図面を書き、その設計図を元に現場で職人さんたちと共に作業をしてヘトヘトに疲れ切っていた。このまま家に帰るのも億劫で、どこかでご飯でも食べて帰ろうかと思案していると、火を貸してくれと声をかけられた。

見上げるとオジサンが煙草を吸いたがっていた。無言でライターを渡すと、それをきっかけに隣に座り、あれこれ話しかけてきた。30代、中肉中背、高倉健のようなイケメンのオジサンだった。

喋りが上手く、電車内でも色々な会話で盛り上がり、話の流れで繁華街の居酒屋でご馳走してもらえることになった。

饒舌な語り口はそのうち芸能界の話題となり、ジャニーズの内情や同性愛絡みの方向に偏りだし、もしかすると、このオジサンはゲイなのかな?と思ったりもしたが、特に偏見は無かったので遮ることもなく会話を楽しんでいた。

気がつくと終電の時間が近づいていた。

オジサンは飲み直そうと、家がすぐそこだから泊まっていきなよと言ってきた。ここまでの時点でこのオジサンはゲイなのだと確信していたが、自分はノーマルであることを告げているし、これから電車に揺られ家に変えるのも面倒臭く、奢ってくれたこともあるので、ありがたく受け入れることにした。

一人暮らしの部屋は小綺麗に整理整頓されており、居心地が良かった。

寛いだ雰囲気の中、風呂入っておいでという申し出に甘え、湯船に浸かり出てくると、いつの間にか脱衣所に着替えが置いてあった。

自分より一回り以上小柄なオジサンなので、サイズ合わないよな~という予想の遥か上を行く着替えだった。

渡された服を着てみると、バレエダンサーが着るようなピチピチのレオタードで、全身のラインがクッキリと浮かび上がる(もちろん股間部分も)。脱衣所の鏡には爆笑ものの自分が写っていた。

この後の展開はどう考えても一線を超えてしまう流れだが、自分のなかでは性の対象は異性なので、もし、そうなったらオジサンに蹴りを入れて気絶させちゃえばいいか、と腹をくくる事にした。

案の定、脱衣所から出るとオジサンが迫ってきた。

ナンパされて部屋に連れ込まれ、やられてしまう被害者側の気持ちがわかる気がした。その時の状況で好意が芽生えたり、たまたま自暴自棄になっていたりすると、そのまま流れに任せて朝を迎えるのだろうが、自分の中では同性は対象外だった。

jinjin
jinjin

その気はないので、これ以上はやめてください!

一言キッパリと告げると、オジサンはゴメンゴメンと謝りながら離れていった。

その後は何事もなく別々の布団で眠りについたが、マイノリティーとして暮らす生きづらさをしんみりと話してくれた。

オジサンが眠ったのを確認してから自分も眠ることにしたが、朝まで指一つ触られた感触はない。紳士的なオジサンの態度に胸をなでおろし、自分も安心して眠ることにした。

翌朝、オジサンが先に起きだし身支度を整えている気配を感じていると、鍵は外の鉢植えの下に置いてくれればいいよと伝言を残し、オジサンは仕事があるからと先に出ていった。

家主のいない部屋で起き、改めて部屋を見渡すと、孤独なマイノリティーの心を覗いたような気がした。

玄関脇の植木鉢に泊めてくれたことの礼を述べ、部屋を後にした。

その後、二度と会うことは無かったが、今回のような事件があると、あのときのオジサンのことをふと思い出す。その後、元気に暮らしているだろうか?

紳士なオジサンだったので、きっと素敵なパートナーと巡り合い幸せに暮らしていることだろう。

満員電車で痴女に遭遇

その後、思う所あり、仕事をやめ1年間予備校に通い、二十歳で都内の夜間大学に通うことになった。授業が終わるのが夜の九時。その後、帰宅ラッシュの酒臭い電車に揺られ自宅に戻る日々での出来事。

都内の大学から高田馬場駅で西武新宿線に乗り換え通学していたが、JRと地下鉄の乗換駅なのでいつでも混雑している。

混雑したホームから電車に乗ると、車内は一気に人で溢れ返る。流れに身を任せて最後列で車内に入ると、その後を追うようにして小柄な女性が駆け込んできた。

扉が閉まると向かい合わせの体勢になってしまった。ギュウギュウ詰めだったので、できるだけ女性のスペースを確保してあげようと、扉に両手を着いて女性を囲うように踏ん張っていた。

高田馬場駅を発車直後、大きなカーブを過ぎ線路が直線になり速度を上げると、乗車時の押しくら饅頭も収まり車内は落ち着いてくる。

小柄な女性とは相変わらず向かい合わせの状態で、できるだけ体が触れないように空間を取るように踏ん張っていた。

突然、内腿に女性が片足を滑り込ませてきた。

一瞬戸惑い、目の前の小柄な女性を見下ろすと目が合った。

上目遣いの瞳は何故か妖しく光っている。

微妙な感情が湧いてきたが、それでもこの状況では耐えるしか無い。両手は扉に固定しているので身動きがとれない。そういう体勢であっても下手に動こうものならあらぬ嫌疑をかけられること必至だ。

そうこうしているうちに、女性はこちらの気持ちを見透かすように、滑り込ませてきた足を不自然に動かし始めた。その動作は明らかに痴漢の動きだ。いや、男ではないので痴女と呼ぶべきか。

薄着の女性と体が密着してスリスリと足を絡められようものなら、たとえその気がなくても男は反応してしまう。プライベートな空間なら喜ぶところだが、混んだ車内で動きを封じられた状態でちょっかいを出されるのは勘弁願いたい。かと言って、静かな車内でやめてくださいと声を出す勇気はなかった。たとえ声を出したところで痴女に遭って迷惑しているとは誰も思わないだろう。

痴女という存在がこの世にいるということに驚き、新鮮な発見をした気がしたが、正直、やめてほしかった。只々地蔵のごとくじっと耐えていた。

そうこうするうちに急行はいくつかの駅を過ぎ、最初の停車駅に着くと、痴女は何事もなく下車していった。

やれやれ、という気持ちで自分の降車駅まで胸をなでおろした。

jinjin
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満員電車でタンゴを踊ってはいけない!

次の夜、昨夜の出来事が気になったので、高田馬場ではなく始発の西武新宿駅から乗車し、ドア横のシートに座り居眠りしていると、高田馬場駅で一気に乗客がなだれ込んでくる気配を感じた。一瞬頭を上げると、乗り込んでくる乗客の中に痴女がいた!

暑い季節だったので膝上丈の短いスカートに生足、胸元が大きめに開いたブラウスの出で立ちで人混みをかき分けこちらに向かってくる。

気づかれないように頭を垂れ寝たフリをしていたが、いつの間にか目の前に痴女が陣取っている。見上げたタイミングで再び目が合ってしまった。

その瞳は獲物を捉えた女豹の光を放っていた。

高田馬場駅を発車し、大きなカーブで電車が揺れるタイミングに合わせ、再び足をねじ込ませてきた。

も~~~勘弁してくれよ!

内心憤慨しながらも、動けないので諦め、放置決定。

西武新宿線は直線で揺れも少ないので、車内は静まり返っている。

痴女はこちらが手出しできないのを読み切っているのか、足の間でスリスリと自分から生足の膝や内腿をこすりつけてくる。

その動作を咎めるように睨んでも、ますますエスカレートしてくる。

散々好き勝手に振る舞った後、昨夜と同じ駅で何事もなかったように痴女は下車していった。

jinjin
jinjin

満員電車でランバダを踊ってはいけない!

その翌日も、痴女はやってきた。

昨夜と同様、西武新宿駅から乗車し椅子に座って成り行きを見ていると、高田馬場駅から痴女は乗り込んできた。こちらへ向かってくる痴女に拒否アピールをしようと真正面から見据えていたが、まるで捉えた獲物を抑え込むかのように自分の足をグイグイと押し込ませてきた。

ここまで露骨に絡まれると、睨んでも無駄な抵抗なので無視することにした。扉が閉まるのを合図に下を向き、寝ることにした。

静かな車内でうつらうつらと居眠りをしていると、頭頂部に違和感。なにかがかすかに触れたり離れたりしている。

うつむいた姿勢で目を開くと、痴女の生足がこちらの両足の間、かなり深いところまで入り込んでおり、前のめりに体を傾けている。

頭を上げると、すぐ目の前に谷間が飛び込んできた。

この夜の痴女は大きく胸の開いた薄手のブラウスを着ていた。ブラの素材や色形までもクッキリと浮かんで見える。

鼻先が危うく触れそうになるのを必至で回避し、上半身を反った状態で見上げると、痴女が勝ち誇ったように見下ろしている。

睨んでみたが効き目はなく、上半身を更に傾けてくる。

騒がないことをいいことに挑発している。

一体、この女は何なんだ?

ドッキリカメラかなにかの企画なのか?

周りを見回しても、乗客は見て見ぬふりか狸寝入りをして事の成り行きを見ている様子だ。

正直、ムカついていた。

スキンシップは大好きだ。ましてや胸の谷間に顔を埋めるのは男のロマンだ。がしかし、それは時と場合による。

今どきのAVなら【電車で痴女に遭ったので、そのまま一緒に下車しちゃいました】的なタイトルの展開になるのだろうが、相手が嫌がっているのを無視するような女性は願い下げだ。

なんとか谷間に触れないよう必至でのけぞった状態を維持して、痴女が降りる駅までじっと耐えていた。

自宅に戻っても、戸惑い、屈辱感、怒り、色々な感情が暫くの間消えることがなかった。

痴漢に遭う女性の気持ちがよくわかった。

jinjin
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嫌がる相手に自分の欲望を押しつけてはいけない

その後、痴女との攻防戦は1週間ほど続いた。

流石に勝ち目のない戦だったので、それ以降は電車を変え、乗車位置も変えたので痴女に遭遇することはなくなった。乗りたい電車、乗りたい車両に乗れなくなったのは悔しいが、難を逃れるためには仕方がなかった。満員電車の車内では圧倒的に男のほうが不利な状況なのだ。

その後は平穏に日々が過ぎていったが、ある日、家の近くのコンビニに行くと、見覚えのある露出度の高い服を着た女性が雑誌のページを捲っているのが外から見えた。

あの時の痴女だ!!!

なんでここにいるの?

痴女が下車したのは毎回都内の駅で、そこから更に急行で20分以上離れた駅の、しかも駅からコンビニまではバスで10分ほどの住宅街。生活圏が全く重ならないので、痴女がコンビニにいるのはどう考えても不自然だ。

尾行された?

ストーカー?

なんか怖くなってきた。

もしかすると人違い?偶然?被害妄想?

色んな感情が脳裏に浮かんだが、接点を持たないに限る。

君子、危うきに近寄らず。

店内に入る前に回れ右をし、急いでコンビニを後にした。

相手が嫌がるようなことを強制してはいけない。

jinjin
jinjin

好意があってもストーカーは逆効果にしかならない。

未来への芽を潰してはいけない

猛暑だった今年の夏、外で汗を流すのは諦め部屋でテレビを観ながらウダウダ過ごしていた。今回の騒動で前述の二十歳前後の体験を思い出していた。性の問題で大切なことは、本人の意志がどれだけ尊重されていたのか?ということだ。

ゲイのオジサンと過ごした一夜の出来事は、最後までこちらの意志を尊重してくれた。一線を越えることはなかったが楽しかった思い出だ。もし、無理やり事をなそうとしたならば、今頃はゲイに対する偏見を持っていたかもしれない。

一方、満員電車で痴女に遭った数日間の体験は、外野から見れば一見楽しそうな状況だが、抵抗できない状況下で好き勝手な事をされてしまったというマイナスな記憶しか残っていない。

大人同士の性のトラブルは同意があるか無いかが焦点となるのだろうが、未成年に対する小児レイプは同意の有無以前の問題だ。大人として恥ずべき行為を断じて許してはならない。

とはいえ、加害者が亡くなっている今となっては、何処に落とし所を求めればいいのか?

4時間を超える謝罪会見が開かれたが、加害者と二人三脚だった副社長が会見数日前にトンズラ、親族が社長を辞任したが全ての資産を保有した状態で代取に残留、新社長は加害者の最高傑作とされているタレントが就任し、加害者の名を冠した看板は外さないとのこと。会見翌日には筆頭タレントが加害者礼賛とも取れるスローガンをSMSに投稿。

ここまで世の中を舐めきった会見も珍しい。

企業の謝罪会見ならば茶番もいいところだが、【シャザイカイケン】というタイトルのエンターテインメントだったのだろう。

昭和の時代から加害の事実を知っていながら見過ごしてきたメディアがショーの演出を行い、会場に詰めかけた記者と言う名の観客がグダグダの質問を声援代わりに発し、被害者である可能性も高い所属タレントに知っていたか知らなかったか?と踏み絵を踏ませ、休憩時間は見て見ぬふりを続けた企業のコマーシャル。

アホですか?

異性間のレイプでさえ、被害者自身が声を上げることは大変な勇気のいることなのに、声を上げた被害者に対して、ファンの中には加害者の会社を擁護し、被害者に対して心無い誹謗中傷をなげかけたり。

脳内お花畑としか言いようがない。

今回の件で一番問題なのは、ようやく問題解決に向けて動き出したのは海外からの告発がキッカケだったということだ。もし、海外からの告発がなかったら、未だに蓋をし続けたことだろう。

今回の問題が炎上する前、京都の舞妓さんが仕事中に受けた自身の性被害について声を上げ、内部告発を行った。マスコミも一時期盛んに取り上げていたが、いつの間にか消えてしまった。あっという間に蓋をしてしまったようだ。この問題も日本の風習として長年続いているが、海外から告発されなければ目が覚めないのだろうか?

自浄能力のない野蛮な小児性愛大国と言われても仕方ない。

子供の心に深い傷を植え付け、未来を壊してしまうようなことは決していしてはいけない。

 
 

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