ホテル暮らし -冬の札幌編-

出張・旅

数年ぶりに札幌へ長期出張することになった。

季節は真冬、雪まつりのシーズン。

出張族にとっては辛いホテル暮らしの始まりだ。

コロナ禍から回復したはいいが

コロナが落ち着き世の中が通常モードに戻ったのはいいことだが、それに便乗して物価が一気に値上がりし始めた。ホテルの宿泊費も例外ではない。出張族にとってホテル代は一番の出費となるが、コロナ後のインバウンド需要にあやかろうと、どのホテルも軒並み宿泊代を上げてきた。特に大都市圏での値上がりは凄まじく、今回の札幌市街地はカプセルでも1泊1万円を超えている!

雪まつりシーズンということで、年間を通じて一番の繁忙期のプライスとしては仕方ないところだが、出張族御用達のビジネスホテルでも1泊2万円前後!!!

数泊程度なら持ち出しでもあきらめが付くが、数週間となると大赤字になってしまうくらいの痛手だ。

夏場ならホテル宿泊は諦めキャンプ場でのテント泊出張も可能だが(まともな出張族はしないと思うが、仕事ができる環境が整っていれば十分可能なのは立証済み)、真冬の札幌でレンタカーを借りて雪中キャンプだとリスクが高すぎて無理。

幸い、今回の仕事先は札幌市内から数駅離れた場所なので、市街地は諦め郊外に選択肢を伸ばしてくまなく探すと、ようやく出張費の範囲内で収めることができた。

ベッドタウンにあるホテルなので、仕事が終わってから夜のススキノに繰り出すことはできないが、今回は諦めることにしよう。

大好きな街が金太郎飴になりつつある

コロナ絶頂期の頃は閑散としていた羽田空港も通常以上の混雑具合。

いつも飛行機を利用する場合は余裕を持って空港入りし、手続きを済ませたあとは搭乗するまでラウンジでゆっくり過ごしていたが、カウンターは長蛇の列で時間ばかりが過ぎていく。

結局、時間ギリギリに保安ゲートを潜ることになった。

離陸直後、1月にキャンプしたゲートブリッジを眼下に見下ろし、旋回しながらぐんぐん高度を上げる。冬は比較的揺れることが多いルートだが、この日は大した揺れもなく、ウトウトしたと思ったらあっという間に小雪の交じる新千歳空港に着陸。

冬は預ける荷物が一気に大きくなるため、ベルトコンベヤーに乗って出てくるまで異常に時間がかかる。更に雪国の場合は天候次第で電車やバスが普通に送れるので、普段より余裕を持ったスケジューリングが大切だ。

五年ぶりに札幌駅に降り立つと、細長い高層タワーが増えていた。以前建っていたビルも解体され再開発の工事音があちこちで響いている。新幹線が開通する頃には駅前はきっと金太郎飴になっているに違いない。

それでも出張先として一番好きな街。札幌に来るときは早めに到着するようにして、お気に入りの店や場所を訪れることにしている。

まずは駅近くにあるご贔屓のラーメン屋さんでお昼ごはん。

と思ってお腹をすかせながら向かうと、遥か店の彼方まで大行列。以前は分かりづらいところだったので行列などなかったのにorz

並ぶのはありえないので気持ちを切り替え、プランB。
頻繁に通っていた美味い町中華でザンギ定食を頬張ろう。途中、大好きな大通公園を通るので、来週から行われる雪まつりの準備作業でも観ながら行こうと思ったが、公園内は関係者以外立ち入り禁止orz

雪国の歩道歩きモードに切り替え、雪と氷と泥水の入り混じった歩道を転ばぬように慎重に歩き、路面電車の線路が目の前にあるお目当ての中華屋さんに着くと、そこもまさかの大行列orz

ならばプランC、食事は諦め最後の頼み。
地下鉄で郊外へ向かう前に一番大好きな珈琲屋さんで寛ぐことにしよう。大通公園を過ぎ円山まで歩くと、参道入口にお目当ての珈琲屋さんの看板が見えてきた。

今から30年ほど前に初めて札幌を訪れた時、たまたま入った珈琲店だったが、あまりの美味さに感動し、全国の珈琲屋さん巡りを始めるキッカケになった店だ。

日本各地にはそれなりに安くて美味い珈琲を出す店はあるが、圧倒的に美味い珈琲屋さんは自分の中ではこの店が一番だ。当時は市内に本店と繁華街に数店しかなかったが、これだけ美味い珈琲を出す店はいずれ事業として成功し、絶対に都内へ出店すると思っていたが、その予想は見事に当たった。

市内のあちこちに店が増え、今では東京都内にも数店舗出店しているようだ。たまに顔を出す会社が日本橋にあるので、出社した時は帰りにデパ地下にある豆販売店でテイクアウト利用しているが、やはり本店の味には敵わない。

本店の何十年も変わらない重厚な扉を開け店内に入ると、1階はカウンターのみで、奥の珈琲焙煎工房眺めながら珈琲を入れる様子を見ることができる。二階はテーブルがゆったりと配置され落ち着ける空間で、JBLの大型スピーカーから流れてくるJAZZを聴きながら絶品の珈琲を味わえる。

その他、市内には数店舗点在しているが、どの店も雰囲気は抜群だ。店内の雰囲気に関しては藻岩山ロープウェイの山麓駅近側にある店舗が一番お気に入りなのだが、味に関しては、やはり本店に軍配が上がる。

初めて本店を訪れた当時は全席喫煙可能だったが、時が経つに連れ1階は禁煙、2階が喫煙可能と分煙化が進み、今回はついに二階も全面禁煙になってしまったようだ。

煙草を吸う機会はめっきり減ったが、この店の珈琲は煙草とセットで味わうと格段に美味くなるので、念のため店員さんに確認すると、喫煙室もあるとのこと。迷わず二階の喫煙席をお願いした。

案内された喫煙席は二階の隔離された小部屋のような部屋だった。BGMも聞こえない殺風景な部屋に案内された。ついに喫煙者が寛げない店になってしまったようだ。更に出てきた珈琲はカップが一回り小さくなっていた。

それでも楽しみにしていた本店の珈琲だ。寒空のもとを歩き回って冷えた体を温めようと一口啜る。

、、、なんか違う。

深みもコクも無い、普通の珈琲だ。

それでも美味いことは美味いのだが、求めていた記憶の味ではない。以前のメニューには珈琲メインでトーストとチーズケーキくらいしかなかったが、食事のメニューも増え、パフェ系のメニューも記載されている。

しかも珈琲の値段が上がっていた。

事業の成功と引き換えに、ただのコーヒー屋さんになってしまったかorz

ゆっくりと寛ぐという雰囲気には程遠くなってしまったので、改めてホテルの部屋で飲む用に珈琲豆をテイクアウトし店をあとにした。

宿まで数駅歩くことは諦め、地下鉄に乗りベッドタウンの駅を降り、ホテルにチェックイン。フロントで手続き後、宅急便で家から送っておいた電気ストーブ類など冬物が詰まった荷物を受け取ろうとしたが、まだ届いていないとのこと。

時間指定で午前中ホテル着に指定してあったのだが、配送センター問い合わせてみると、配送システムエラーで隣街の配送ステーションに配送先不明で留め置かれていることが判明した。

せっかくWEBでメンバー登録を行い、ドライバーに手間を取らせないような仕組みを採用したのに、最近の宅配便パンク状態の悪影響がもろに出てしまった形だ。時間的に今日中のお届けは無理とのことで、翌日の午前中に改めて届けてもらうことを確認して部屋に向かう。

やれやれ、今夜は寒い思いをして過ごすことになりそうだorz

通された部屋の窓の外は隣のマンションの窓が目と鼻の先。朝の光を浴びたり、外の様子や景色で天気を判断することができない。部屋は広いが息が詰まりそうだ。いつもなら部屋移動をお願いするところだが、久々の札幌出張で今回はどうも初日から歯車が噛み合わないorz

こういう時は下手に部屋移動などをお願いしても、更なる不幸が降り掛かってくるのがオチだ。

いつものリズムを通すのではなく、ここは一旦気持ちを切り替え流れに身を任そう。

気持ちの切り替え方

旅先でのトラブルはできるだけ避けたいところだが、それでも見舞われる時は見舞われる。
今回のようにスタートから躓くような時は、すぐに気持ちを切り替えるのが一番だ。うまく行かないことをいつまでも引きずっていてはこの先どんどん深みにはまる。

こういう時こそ身体のコンディションを最優先に整えることを意識しよう。

雪のない出張先だとRUNシューズに履き替え旅RUNを楽しむところだが、トレランシューズは未着の荷物の中。街を散歩することしかできないが、今回のように、現地入り早々リズムが噛み合わないような時は決して無理をしない。暖かい部屋でストレッチをメインにじっくりと体をほぐすことをメインとし、体を動かすのは仕事先への通勤ウォーク程度に済ませることにしよう。

翌日からの仕事に備え仕事先への行き方を調べてみると、直線距離で駅前を通って1キロほど。あっという間に付いてしまう。それでは味気ないので更に範囲を広げて地図を眺めていると、近くを川が流れている。

川沿いに迂回して仕事先まで行くと4キロほど。朝の通勤ウォークにはちょうどいい距離だ。明日の朝から仕事先へは少し遠回りをして川沿いをウォーキングして通うことにした。

電気ストーブが届かないので風呂上がりは体が冷める前にストレッチを入念に行い、追加してもらった毛布を顎まで被り就寝。

翌朝、エアコンは付けていないので寒さで目が覚めた。窓からは隣のマンションの固く閉ざされたカーテンが見えるだけだが、見上げると雪混じりの曇り空。まずはゆっくりと珈琲を飲み体を目覚めさし、その後はテキパキと身支度を整え、イザ、雪景色ウォーキングへ。

ホテルの玄関を出ると一気に冷気が襲ってくるが、ホテル前の歩道はツルツルに凍ってスケートリンク状態。まずは慎重に歩みを進め暫く歩くとコースの川が現れた。ここからはズボズボと粉雪の感触を楽しみながら川に沿って歩いていく。場所によっては膝くらいまで雪に埋まってしまうので、普段のウォーキングでは使わないような筋肉も総動員。美しい雪景色を楽しみながら元気に歩いていると、すぐに体がポカポカと温まってくる。

やがて薄っすらと汗をかき始めた頃に仕事先へ到着。冷たい空気にさらされた顔はピンと張って強張っているが、シャキッとしたエネルギーが全身から漲ってくる。昨日までの噛み合わないリズムからいつものペースを取り戻すことができた。

いよいよ真冬の札幌で長期出張生活の始まりだ。

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