ホテル暮らし -週末は旭川にプチ旅行、懐かしい彼女と再開してきた-

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雪まつりシーズンの札幌長期出張。年間を通して一番の繁忙期ぶつかってしまったため、週末の宿はどこも満室。出張難民の可能性が出てきた。

出張先から更に遠くへプチ旅行

長期出張の場合、週末に仕事がなければ同じ宿の部屋でゆっくり過ごすことができるが、今回は土曜日だけ部屋が取れなかった。札幌中心部は無論、近隣の宿も軒並み満室。ならば定山渓で温泉でも浸かりたかったが、少ない残室もありえない価格設定。ニセコなどはバブル状態で一泊数十万円の価格設定。治外法権のエリアになってしまった。

さて、どうしたものか。外は昼間でも氷点下。宿が取れないということは凍死を意味する。地図を睨みながら範囲をどんどん遠くに広げていくと、旭川エリアは通常の価格設定に近いプライスを提示している。

というわけで、週末は旭川へ一泊二日のプチ旅行に出かけてきた。

土曜日は旭川にいる懐かしい彼女に会いに行き、日曜日は札幌に戻り雪まつりの初日を見物することにした。

札幌から特急で90分、そこから直行バスに乗り換え40分ほどで日本最北端にある極寒の動物園にたどり着ける。日帰りでも十分可能な工程だが、真冬のJR北海道は雪の影響で運休が頻発するため、天候が不安な場合は気をつけよう。札幌駅を出る頃には雪が降っていたが、この先果たしてどうなることか?

朝食代わりに札幌駅で購入しためちゃくちゃ美味い駅弁と、美しい沿線の雪景色を楽しんでいる間に雪はやみ晴れ間が覗きだす。

旭川駅に到着する頃には青空が広がっていた。晴れ男バンザイ!

動物園直行のバス乗り場に向かうと、既に長蛇の列。週末ということもあり、観光客が続々と列に並び始める。

氷点下の中でどれだけ待つのか不安だったが、臨時バスがでているようで次のバスはすぐにやって来た。そのバスに係員が詰め込めるだけ詰め込み、ぎゅうぎゅう詰めの状態で出発。

幸い、最後尾に最後の一席が空いていたので身を縮こませて座ることができた。車内の窓はあっという間に曇ってしまい、道中の景色を見ることはできない。

極寒の動物園で彼女と再開

息を殺し40分ほど雪道に揺られ、坂を登りきったあたりで動物園着。電子決済が使えず現金オンリーのようで、なかなか外に出られない。運転手が両替のお釣りがなくなったとボヤいていたが、これだけ人気の路線で海外からの観光客も多いので、電子決済が使えないのは残念なバス会社だ。

動物園の入口はごった返していた。開園時間に合わせて到着するようスケジュールを組んだが、10時半の開園前から相当の人数が並んでいたようだ。チケット売り場は窓口と券売機があるが、どちらも遅々として進まない。並んでいるだけでも足元からジンジン冷気が登ってくる。

ようやく入園ゲートを潜ると開放的な空間が広がっている。温度計の柱を見ると、

日中にこの気温の中で過ごすことになるのか、、、

プロムナードの緩い坂道を歩いて行くと人だかり。旭山動物園の目玉イベント、ペンギンの行進がそろそろ始まるようだ。真冬の旭山動物園に訪れる9割の人はこれを見るために来ているのだろう。

ペンギンの行進は一日二回、午前と午後に予定されており、コース上は既に大勢の人が並んでいた。入り込む余地がなかったのでペンギン放飼場に行ってみると、少しだけ隙間があり潜り込むことができた。

開始時間まで15分程なのだが、寒くてじっとしていられない。ペンギンたちに習い、その場でペタペタと足踏みを繰り返す。

開始時間が近づくとスタートラインと思しきゲート付近にペンギンたちが次々に集まってくる。皆、自分たちが注目されているのがわかっているかのように愛想を振りまいている。しかし、なかには行進なんて行くもんかと、人混みに背中を向け出勤拒否しているペンギンなどもいて思わず笑みが溢れる。

時間になると飼育員の丁寧な解説が行われ(寒いのでもっと手短にしてほしかった)、その後、なんとなくゲートが開き、なんとなくペンギンたちがよたよたとコース上に出ていく。
一番人気のイベントなので、エレクトリカルパレードのような華やかな演出を想像していたが、演出やBGMの類は一切なく、見物客の黄色い声だけが響いていた。なんとも素朴な行進風景だ。

結局、出勤拒否していたペンギンはパレードには加わらず、屋内にひきあげてしまったていた。働かないオジサンは人間界に限ったことではないようだ

次はいよいよ今回の旭山動物園に来た一番の目的。彼女と再開するためライオン舎へGO。

ペンギンエリアの先に目指す猛獣ゾーンがあった。

まずは虎に出迎えられ、その隣がライオン舎だ。

冬の時期、放飼場に出てくる時間は天候次第とのことで、ライオン達はまだ外に出ていなかった。それなのに、柵越しに頭のテッペンから足元まで完全防寒仕様の服をまとい、プロ仕様のカメラを構えている人達が既にスタンバイしている。きっと常連のユーチューバさんだろう。そこだけ邪魔するなオーラが出まくっていた。

ここのライオンファミリーは大人気なようで、You Tubeにも多くの動画がアップされている。おそらく、日本の動物園では一番投稿数が多いのではないか?
自分にとっても懐かしいライオンがいるので、ぜひ観ておきたかったのだ。

数年前の愛媛出張の際、休日を利用してキャンプしてきたのだが、最終日の登山が中止となったので帰り道に動物園に立ち寄った。たまたまライオンの赤ちゃんが一般公開になったばかりだったようで、園内はライオンの赤ちゃんを一目見ようと大賑わいだった。

広い放飼場で元気に走り回る仔ライオンはとても可愛く、登山が不測の事態で中止になり落ち込んでいた気分を吹き飛ばしてくれた。その仔ライオンが1年後に愛媛を離れ旭山動物園に嫁いできたのだ。

人間のエゴで温暖な愛媛から極寒の旭川に連れてこられ、極端な環境の変化にはじめはどうなることかと心配していたが、オスライオンとの相性もよく、隣の虎ファミリーにとってもアイドル的存在となり、元気に仲良く過ごしていた.
その雌ライオンのイオちゃんが1年ほど前に3頭の子供を産み、今ではいいお母さんになっているようだ。なので、母親になったイオちゃんをじっくりと観察したかった。

とは言え、先客のカメラマン達に混じってライオンの出待ちをしていると、先程まで園内を歩いて温まっていた体から体温が急激に奪われ、一気に冷えてくる。

隣の檻にいるアムール虎とは違い、アフリカのサバンナが本来の生息地のライオンにとって、旭川の冬は罰ゲームと言えるくらい過酷な環境だろう。
飼育員さんもその点は考慮しているようで、寒すぎる日は無理に外へ出そうとせず、本人の意志を尊重しているようだ。

因みに、今朝の旭川市内は-20度だったそうな。

いつ出てくるか未定の状態でじっと出待ちをしていると、足先から徐々に感覚がなくなってくる。気がつけば鼻毛も凍ってしまい痛くなってきた。

一旦屋内の休憩所に引き上げようと移動しかけた瞬間、それまでの間延びした雰囲気が一変し、突然カメラマン達がカメラを構えレンズを出入り口の扉に向け照準を合わせ始めた。

自分も急いでスマホの動画を起動させ同じ方向に向けると、扉が開き子供ライオン達が勢いよく飛び出してきた。

シャッターチャンスは忍耐の賜物だ。

狭い屋内から外に出られたのが嬉しいのか、氷点下にも関わらずライオンの子供達は白い息を吐きながら元気に駆け回る。暫くすると、母ライオンがのっそりと出てきた。

懐かしのイオちゃんだ!

生まれた頃に愛媛で会って以来、4年ぶりの再開だ。チョロチョロと元気に走り回っていたイオちゃんが、今ではすっかり大人になり、寒さにもめげず子供たちの面倒をよく見ている。

母と二頭の娘が仲良く駆け回る中、出入り口の扉は開いたままだが、父ライオンのオリトは中々出てこない。一瞬、扉の奥から顔をのぞかせ外の気配を伺っていたが、すぐに引っ込んでしまった。外に出るか中で閉じこもるか、本人の気分次第のようだ。

他の動物園は開園から閉園まで強制的に外へ出す場合が大半だが、冬の旭川動物園は個々の自由にさせているらしい。この日はとても寒い日だったので、オスライオンは出勤拒否となってしまった。

この動物園の特徴の一つとして、色々な角度から放飼場を見られるようにレイアウトされている。寒さの限界に達すると違う場所へ移動し別アングルで見ることができる。

時間の経つのも忘れ、午前中はタップリとライオン舎で観察したあとはランチタイム。防寒装備をキッチリ固めていても指先がかじかんで動かない。

何を食べるかではなく、とにかく暖を取りたい。

因みに、園内で一番暖かい場所はフードコートなどではなくトイレだった。

暖房から温風が勢いよく出ており、扉で密閉されている空間を暖めている。設定温度12度、現在温度が10度でも沖縄のような暖かさに感じる。この温風でひとまず足先と指先を暖めてから、フードコートのある建物に向かった。

フードコートは来園客でごった返していた。色々な国の言語が飛び交うなか、運良く窓に面したカウンター席を確保できた。

味噌味ホルメン。
旭川のご当地ラーメンのようで、肉厚の焼きホルモンがゴロゴロと入っている。しっかりした食感だったので何度も何度も噛んでいると体が徐々に温まってきた。そこへ熱々のスープを飲み、中太麺をすすっていると冷え切っていた全身から冷気が抜け、体の芯から暖まり汗まで出始めた。

食後は持参した珈琲セットでいつもの珈琲タイムを楽しみたいところだったが、外のベンチはすべて雪で厚く覆われていたので珈琲は諦め、引き続きライオン舎へ向かう。

午前中は団体のツアー客で賑わっていたが、団体客が引き上げると園内は穏やかな時間が訪れる。先程まで元気に走り回っていたライオンたちも、一通り動き回って満足したのか、日向ぼっこしながらノンビリ過ごしている。

目の前の板敷きに三頭が移動してきたので、じっくりと観察してみると、母親の体毛と子供たちの体毛の密度が違う。

温暖な地で生まれた母親は体毛が幾分長くなり、ふっくらと皮下脂肪がついた程度だが、旭川生まれの子供たちは母親より毛が長く太い。

生まれたときから極寒の地で過ごしているので、体質が寒冷地仕様になったのだろう。自然界ではありえない生息地で暮らしていると、それなりに適応してくるようだ。体も皮下脂肪がタップリとついてふっくら、というよりデブ?になっている。
仔ライオンはフウちゃん、レイちゃんと名前が付いているが、極寒の地で生まれたからなのだろうか、レイちゃんは少し太め?なくらいだが、フウちゃんはタップリと脂肪が付き、完全にぶーちゃんと化している。手足の毛は防寒大作で肉球付近まで体毛に覆われ、その姿形は温暖なエリアで生まれた母親のイオちゃんとは似ても似つかない。ライオンの仔というより、さながらユキヒョウのようだ。

寒冷地仕様に進化した仔ライオン達が寒さに負けず元気に動き回っている姿を見ると、どんな状況下でも適応して生きようとする動物の逞しさに感心し、たくさんの元気をもらうことができた。

午後のペンギン行進が終わると、あたりは急に冷え込んでくる。来園者も一気に減り、ライオン舎に戻るとライオン親子も既に中に引き上げてしまい、おもちゃ代わりのポリタンクだけがポツンと残っていた。

冬は三時半が閉園時間のようで、他の動物たちをザックリ見物していると蛍の光が流れ出した。

旭川駅までウォーキング

外に出ると、バス停は帰り客が既に行列をなしていた。暫く待たなければ乗れそうもなかったので、ウォーキングで駅まで戻ることにした。駅近くのホテルまで10キロ。ちょうどいい距離だ。

トレランシューズにチェーンスパイクを装着し不測の転倒に備え、行列の人達を横目にイザ帰路へ。

駅までほぼ直線の雪道をチェーンスパイクの歯がしっかりと食い込み、ザクザクと歩くこと90分。今夜の寝床が見えてくる頃には程よく汗をかいていた。

この日の宿は1階が地元で人気の健康ランドで、3階以上が宿泊施設になっている。宿泊者は何度でも入れるらしい。部屋で一息ついたあとは1階の大浴場へ。久々の大きな湯船に体を横たえ瞑想していると、極寒の中を歩き回り凍え切った体の芯まで温まり、日中の疲れが溶け出していく。至福のひととき。

部屋に戻り、布団の上でステレッチをしていると自然と睡魔に襲われる。

スマホで撮ったばかりの画像を確認していたが、いつの間にか寝落ちしていた。

老舗のラーメン屋でブランチ

翌朝、温かい布団の中でウニウニと過ごし、10時にホテルをチェックアウトした。朝食を食べていなかったのでものすごく腹が減っている。

通常、ホテルのチェックアウト時間は10時が標準。お店のランチタイムは11時くらいからが一般的だ。そうすると、朝食を抜いてブランチを楽しみたい場合、立ち寄る店がない。その点、今回入った老舗のラーメン屋さんは10時から開店しているので、寒い町中をランチタイム開始まで歩き回らなくとも熱々の食事にありつけるので非常に助かる。店側もそういう客層を見越しているのだろう。店内に入ると観光客と思しき人達が既に数組陣取っていた。

出てきたラーメンはラードのパンチを効かせた濃厚醤油の黒いスープ。富山のブラックラーメンとはちと違う。トッピングの生姜と一緒によくかき混ぜて食すと、意外とマイルドな味で一気に体が温まる。店を出る頃には汗ダクになった。

願わくば、このラーメンは屋台で食べたかった。寒風の下で食すと更に美味さ倍増することだろう。

札幌行の特急まで時間があったので、駅近辺をぶらぶら。

バス乗り場がある北口は数十年前に降りたときの記憶が全く当てはまらないくらい大きく様変わりしたような感じだが、反対側の南口エリアはなんにもない。

本当になんにもなくて、乗用車の乗降専用ロータリーがあるだけだ。更に驚いたのは、駅前の道でクロスカントリースキーを楽しんでいる。

ターミナルの駅前で美しい景色を楽しみながらスキーを楽しめるのは旭川駅くらいではないだろうか?観光客と地元の人達で出口を使い分けているのだろう。これはこれで使い勝手がいいのかもしれない。

開放感と暖かみの調和した駅舎のデザインに感心し、そんな駅舎の前で地元の人達がのびのびとスキーを楽しんでいる様子がチョットだけ羨ましかった。それ以上に何と言っても、極寒の地で寒さにめげることなく、元気一杯に暮らすライオンファミリーにタップリと癒やされ、札幌への帰路についた。

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