柴犬を室内で飼ってみてわかったことは、とんでもなく可愛いということだ。部屋のあちこちをチョロチョロしていたり、気がつけば足元で丸くなって寝ていたり。
そんな柴犬の魅力は外ではどうか?
外散歩に出かけるようになり丸一年が過ぎた。季節の移ろいとともに見るもの嗅ぐもの全てが初めての体験となったが、日々楽しく散歩に出かけている。
温かい目覚まし時計
柔らかく湿った感触が足の裏に触れ目が覚めた。デジタル時計の数字は4時を示している。外はまだ暗いのでじっとしていると、その温かい感触が足の指を甘噛みしてくる。
ケージを取っ払い室内をオールフリーにしてからは、寝る時間になると必ず布団にやってきて一緒に寝るようになった。
寝る場所は二人の間だったり足元だったりで、はじめの頃は寝返りを打つたびに蹴られて抗議の声を上げていたが、最近は絶妙な間隔で足に当たらない場所に陣取るようになった。
そんなワンコの体内時計はものすごく正確で、毎朝4時になると足をペロペロと舐めて起こしてくれる。
夏の間は陽が昇ると既に猛暑だったので、陽が昇る前に散歩に出かけていた習慣を覚えているのだ。
今年の夏は地方に飛び回る日々で、いつもならそのまま旅先で泊まるところだが、ワンコの散歩があるので日帰りか、若しくは一泊程度で帰ることにしていた。そのため、朝は早めに家を出ることになり、散歩の時間も前倒しとなった。
起こすとはいっても、(散歩の時間だから早く連れて行け!)とアピールしてくるのではなく、(今日は起きなくていいの?)と優しく知らせてくれる。
夏の間はその合図でゴソゴソと起きだして散歩に出かけていたが、連勤を終えた今の時期、外はまだ暗く肌寒い。
温かい布団で二度寝を決め込むと、ワンコも布団の魔力には抗えないようで、布団の中をゴソゴソと這い上がり、お腹のあたりで一緒に布団に包まっている。
暫くの間ウニウニしていると、Garminの振動が手首に伝わる。5時の合図だ。ここでようやく起き出して、白湯を飲み散歩に出かけるのが最近のルーティンになっている。
人見知り、犬見知りをしないワンコ
パピーの頃はひたすら元気に走り回り、あらゆる場所を探検していたが、最近はだいぶ落ち着いてきた。
ひたすら走るだけの散歩は卒業し、クン活を重視するようになってきた。季節ごとに変わっていく色や匂いを確かめるのが楽しくてしょうがないようだ。
自宅近くの工事現場に近づくと、警備員のオジサンに必ずご挨拶。

ワンコは犬好きの人間を本能的に嗅ぎ分けるようで、今ではすっかり懐き、警備員の姿を発見すると自分から駆け寄っていく。
行く先々で出会うワン友の人たちやワンコにもフレンドリーな態度で接し、仲良しのワンコとはいつまでも遊んで先へ進もうとしない。





柴犬は警戒心が強い犬種だが、一歳くらいまでは誰にでも、どの犬にでもフレンドリーで、皆に可愛がられていた。
そんなワンコだったが、初めてのヒートを迎える頃から少しずつ警戒心が芽生え、初めて出会う人やワンコに対しては幾分警戒する素振りを見せるようになってきた。
初対面の人がいきなり手を差し出してくると、ムキッ歯で唸りイエローフラッグを出すようになってきた。
それでも手を咬んだり吠えるようなことはなく、かといって怖がる素振りも見せず、大きなワンコに対しても物怖じしない性格だ。





この程度の警戒心で済んでいるのは、パピー期の散歩が功を奏したのだろう。抱っこ散歩の頃から、いろいろな人やワンコに接してきたことが良かったようだ。
ハーネスを着けられるようになった
年明けの頃、ハーネスに切り替える訓練を試みていたが、柴犬の頑固な性格に根負けして途中で挫折した。
その後、しばらくは首輪で散歩していたが、グイグイと気管を圧迫しながら進もうとする行動をなんとか直したくて、ハーネス着用のトレーニングを再開した。
ハーネスを着用している柴犬のワン友にアドバイスを受け、最終的に落ち着いたタイプがこちらだ。
乗馬用の鞍に似ているデザインで、頭からカポッと被せ、あとは胴体を固定すれば装着完了。それまで試した中で一番装着が簡単だ。
一度装着してしまえば拒否柴になることもなく、色んな動き妨げないような形状だ。多くのワンコがこのタイプを装着しているのも頷ける。
とはいえ、はじめのうちは装着しようとすると逃げ回っていた。玄関を出る前に付けようとすると頑なに拒否されてしまう。
試行錯誤の末、まずは抱っこで玄関を出て散歩に行くことをアピールする。そして外階段の踊り場に出たところでカポッと被せると大人しく着けさせてくれる。あとはそのまま階段を降りて地面に下ろせば元気に歩き出してくれる。
一度慣れると、あとは快適に動き回れるようで、首輪の頃よりグイグイと先走ることも減り、落ち着いて歩き回れるようになった。



ワンコの性格は外でも穏やかで、賢い。
自分より先に進もうとするのは相変わらずだが、ハーネスを着けられるようになってからグイグイと引っ張る癖は収まりつつある。

先を歩いていても、「まっすぐ」「右」「左」「STOP」という指示を出せば従ってくれるので、駅前の人通りが多い歩道などを歩いていても特に不便は感じない。
更に、このワンコは賢いな~と実感する場面がある。
道の先に電柱や柵などがあると、指示を出さなくとも自分からリードが絡まないコースを選択して進んでいく。


この特性は特に教えたわけではないのに、散歩デビューの頃から自分で判断して絡まないコースを先導してくれる。
以前飼っていたワンコは、電柱や柵に出くわす度に、必ず絡んでジタバタしていたのを思い出すと、改めてこのワンコの賢さに感心してしまう。
もし、ベテランのドッグトレーナーの下で様々な指導を受けたら、このワンコは全て吸収して優秀なワンコになってくれることだろう。
残念ながら、我が家は二人とも素人なので、ワンコの可能性を存分に引き出してあげることはできないかもしれない。
それでも、二人が注ぐ愛情はプライスレス。その気持をワンコはきっと感じ取ってくれることだろう。
季節を感じた一年
春から初夏にかけては、花々や新芽の匂いが楽しいらしく、朝、晩2回の散歩を満喫していた。




夏の間はあまりの酷暑にワンコも夏バテになってしまったようで、陽が昇る前であっても走らなくなり、短時間で家に戻ってしまう。
日が沈んでから夜散歩にでかけようとしても、あまりの暑さで外に出ようとはせず、食欲も大幅に落ちてしまった。





それでも、外の世界ではあらゆる命が芽吹き、ワンコにとっても発見の連続なので、ひたすらクン活に専念していた。
初めて見る小動物は興味津々で、いつまでも観察している。






暑いながらも楽しい発見の連続だった真夏も過ぎ、ワンコにとっては懐かしい匂いの季節が再び巡って来た。
晩夏のお散歩デビューから一年が過ぎ、四季の移ろいを肌で感じながら歳を重ね、少しずつ大人のワンコになっていく姿を眺めていると、あっという間に時が過ぎていく。

歳を重ねるに連れ、時間の進み方がどんどん早くなっていく。日々、何かをやったという実感はなく、気がつけば一日が終わっている気がするが、ワンコとの暮らしはシンプルだが充足感に満ちている。
我が家にワンコがやって来て、あっという間に一年が過ぎた。
外でも家の中でも、ワンコのお陰で満ち足りた生活を送れていることに気付かされた一年だ。

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