首輪とハーネスの攻防戦 -主の想い ワンコの気持ち-

ワンコ

 1歳の誕生日を無事に迎えた我が家のワンコ。年明けくらいから体の成長も安定してきたのでハーネスに切り替えようと試みたが、頑なに拒否されてしまう。首輪より楽そうなのに、なぜなのか?

首輪にするかハーネスにするか

 うちのワンコは室内では裸族で過ごしている。パピーの頃にカイカイが止まらなかったので、できるだけ異物の刺激を与えたくないからだ。それでも散歩に行くためにはリードを付けなければいけないので、散歩デビューの時は首輪にするか、ハーネスにするか結構悩んだ。

 ハーネスは首輪よりサイズ選びが難しい。体に合わないとすっぽ抜けたりすることもあるようだ。適正なサイズを選んでも成長期のワンコではすぐにサイズが合わなくなってしまう。

 その点、首輪ならある程度サイズ調整の幅があり、ハーネスに比べ、首輪のほうが指示を伝えやすいという利点があるので、まずは首輪をつけて指示をきちんと理解してもらえるようにすることを優先した。

安全に散歩するにためのトレーニング

 まず初めに教えたのは【STOP】

 散歩の理想は、自分の横について飼い主のペースに合わせて歩く優等生歩きがいいとされているが、我が家のワンコは、なにがなんでも先陣を切りたいようだ。たとえリードが首に食い込もうとも、そんなことはものともせず、常に先頭を行こうとする。

 初めての道であってもその様子は変わらず、一旦立ち止まり後ろを伺い、逡巡してから先へ進もうとする。ただ、自分勝手にどこまでも先頭を行きたいというわけではなく、暫く進むと必ず立ち止まって後ろを振り返り、自分が側まで来ると再び先頭を行こうとする。

 オマエは露払いをしてくれているのか?

 リードの長さを調整し、先走らないよう何度も試みてみたが、エネルギーに溢れ好奇心の塊のような豆柴パピーに対して、優等生になれと願ってもムリだと悟った。

 なので、まずは優等生を目指すのは一旦置いといて、ワンコが走りたい時は一緒に走ることにした。そのかわり、信号や人とすれ違うときは必ず止まることを徹底するようにした。

 公園から歩道に出る時、交差点の信号、前方から小さな子どもを連れた母親、、、

 外での散歩は予想外の状況が発生するので、どんなコマンドを覚えてもらうより先に、まずは止まることを絶対に守ってもらうように心がけた。

 河川敷や公園内でどんなに元気よく走っていても、敷地外に近づいたところで【STOP】と叫び強制停止。外で立ち止まってほしい時は日常的な【マテ】ではなく、メリハリをつけるため、より強力な【STOP】と使い分けるようにした。

 初めのうちは、その瞬間、先を走っているワンコの首に首輪が食い込み全エネルギーが集中するため、「オェッ」と声を上げてゲホゲホむせながら仕方なく止まっていた。

 それでは負担が大きすぎるので、止まってほしい時は徐々にペースをおとしたり、腕の振りを使ってクッション代わりにすることで首に負担がかからないようにしている。そうして止まるタイミングをリードから首に伝え、その感覚が分かってくると、徐々に強制停止してくれるようになってきた。

 たとえ車が来そうもない短い横断歩道であっても、必ず【STOP】で止め、ワンコと自分が横並びになり一旦落ち着かせ、【Go】を発するまでは絶対に動かせない。歩き出そうとしてもその場でキープ。

 そういうトレーニングを散歩の時に繰り返し行った結果、今では境界線がなくとも、【STOP】と大きな声で叫ばなくとも、リードを軽く引くだけで止まってくれるようになってきた。

伸縮リードに変えてみた

 数ヶ月もすると引っ張り癖はかなり収まってきた。それでも雨上がりの散歩などでは室内で過ごしていたストレスを発散したいのか、グイグイと進もうとする。

 できるだけ首に負担がかからないよう、走っていい場所、ゆっくり歩いてほしい場所のメリハリをつけてみようと思い、普通のリードではなく、手元のロック機構で長さが自由に変えられる伸縮リードを試してみた。

 歩道や狭い道などでは足元付近まで短くして長さを固定。すると、出だしの瞬間から引っ張られ、ピンっと張り詰めた状態になるが、その時点で一旦停止。テンションが緩んだら再び歩き始める。そして公園の入口に来たら人がいないことを確認してロックを外し、最大限の長さまで伸びるように切り替えてみた。

 最初はすぐに歩みが止まってしまう。再び歩き始めても数歩進んだだけでリードがピンッと張るので、その時点で再び停止。数メートル進むたびに進んでは止める、進んでは止めるという動作をひたすら繰り返す事になった。

 この動作、ワンコにとってはかなりのステレスのようで、はじめのうちは相当戸惑っている感じだった。そして公園などの入口に到着した時点で必ず【STOP】で一旦呼吸を整え、ようやくロックを解除して好きにさせる。

 それまで2メートルだった固定リードと違って、半径5メートルの自由を手に入れたワンコは、歩道での忍耐歩きから開放されて、ようやく嬉しそうに動き回っている。

 こうした我慢比べのような散歩を数ヶ月行うと、人が行き交う歩道などでは走ることはせず、散歩デビュー当時に比べるとグイグイ引っ張らないようになり、走れる場所と歩かなければいけない場所の区別が付けられるようになってきた。

 更には、道が別れている場所では、進みたい方向にリードを軽く向けるだけで徐々にこちらの意思をわかってくれるようになった。そうした散歩を何ヶ月も繰り返し行っていると、歩行速度もある程度人間に合わせられるようになった。

 こうして散歩の状況に合わせてメリハリが付けられるようになり、気管が潰れるのではないかと思うほどの引っ張りも収まってきたので、外出時は首輪と伸縮リードの組み合わせで散歩を楽しんでいる。

ハーネス着用が必須のイベント

 ある日、SNSにワンコのイベントが掲載されていた。

【カニクロス】という名称で、ワンコと飼い主が自然の中で一緒に走れる競技だ。しかも、開催地は遠い山間などではなく、行き慣れた水元公園とあるではないか!

 走る距離はエキスパート向けの5キロとエントリー向けの2キロ。どちらのコースも、途中で抱っこしてもいいし、立ち止まってもOKというルールのようだ。

 ワンコが大好きな水元公園で、色んな犬達と一緒に競い合えるので、是非とも出てみたくなった。普段から休みの日などは10キロ程度の散歩は余裕でこなせるので、2ヶ月後の開催日に合わせ調整すればなんとか走りきれるだろう。

 早速、エントリーしようと思い、募集要項を確認すると、出場するためにはいくつかの条件があるようだ。

・まずは、予防接種済み証明書を提出できること

 大勢のワンコが一堂に会することになるので、当然の対策だろう。予防接種は昨年のお散歩デビュー直前に打ったので、期間はまだ有効のようだ。

 →クリア! 

 2つ目は、伸縮リード不可で最大2メートルのリード着用とある。

 これも今まで使っていたリードがちょうど2メートルなので、当日までこのリードでトレーニングすればなんとかなりそうだ。

 →クリア!

 そして3つ目の条件、【首輪は不可、必ずハーネス着用すること】

 orz、、、

 主催者側としては、飼い主と一緒に大勢の人やワンコが一斉に走る競技なので、犬が興奮したときに首に負担がかかりやすい首輪は遠慮願いたいということなのだろう。

 とはいえ、せっかくグイグイ引っ張るクセも治ってきて首に負担をかけずに走れるようになったのに、どの犬も一律に首輪は不可とされてしまっては、これまでの数カ月の努力は何だったのか。

 それでも主催者側のルールなので出たいのなら従うしか無い。エントリーの締切りまでまだ数ヶ月あるので、この際、ハーネスを着けてトレーニングしてみようと思った。

楽なはずなのに

 早速、ハーネス選びをすることになったが、ハーネスはデザインも形も様々で、どのタイプが適当なのかわからない。かなり迷ったが、できるだけ体への接地面積が少なく、負担が少なそうなタイプにしてみた。

 着用してみると、とても可愛い。ワンコもまんざらではなさそうで、ルンルン気分で散歩に連れ出してみたのだが、、、

 初めのうちは戸惑いながらもトコトコと歩いていたが、すぐに途中で止まってしまい、そこか先は動かなくなってしまった。普段の拒否柴モードとは少し様子が違うようで、付け心地が気に入らない様子。頻繁に口を後ろに回しハーネスを取ろうともがいている。

 しばらく待ってみたり、強制的に動かそうと促したが、そこから先は頑なに歩こうとせず、結局、抱っこで回収することになってしまった。その後は、ハーネスをつけようとすると、とても嫌がり、散歩自体を拒否するようになってしまった。

 何が原因なのだろう?

 散歩の時は活発に動き回るワンコなので、構造上、脇の下が当たるのが気に食わないのだろうか?

 ハーネスを緩めに着けてみたり、オヤツなどでなだめすかして出かけてみるものの、玄関を出たところですぐに拒否柴モードになってしまう。試しに、途中で首輪に変えてみると、その瞬間、普段以上の元気な散歩モードに戻った。

 今回選んだハーネスがよっぽど気に入らないのなら、違うタイプにしてみよう。

 次に選んでみたのは脇の下や肩に当たらないテープ状のデザインのハーネス。

 こちらのタイプは歩くことは歩くのだが、体を捻ったりするとバックル部分が食い込んでしまうようで、「キャン!」と鳴き声を上げ動きが止まってしまう。

 部屋でも慣れもらうために着けたままにしてみたが、元気がなく、ふて寝してるか鳩君を眺めながらボーッと過ごしている。

 そうこうしているうちに、散歩に連れ出しても拒否柴モード連発で、すぐに固まってしまう。

 ん~~~ワンコの気持ちがわからない。

 首への負担は無いので苦しくないはずなのに、首輪の時より全身で苦しげに歩いている。

 結局、試行錯誤しているうちにエントリー期間は過ぎてしまい、今回の出場は諦めることになった。

演技派女優

 今回のエントリーには間に合わなかったが、カニクロスの競技は定期的に開催されているようだ。半年後にも開催されるようなので、ここは腰を落ち着けて、ハーネストレーニングを焦らずに行うことにした。

 飼い主と一緒に走り廻ったり、登山をしたい場合はそれなりのハーネスが推奨されているようだ。

 3つ目に選んでみたのは、それまでの線で保持するタイプではなく、面で包み込むようなタイプにしてみた。

 色々な素材やカッティングのデザインがあるが、決め手となったのは生地の柔らかさと装着のしやすさだ。

 それまでは首と胴体でバックルを固定するタイプで、着け外しが面倒だったが、今回は首を潜らせたあとは胴体部分の一箇所を固定すればOK。一見ガッチリ固定しているように見えるが、全体を面で包むため、柔らかい生地と相まって体への負担は少なそうだ。

 いざ、3度目の正直。早速着けて散歩に出かけてみると、、、

 それまでの拒否柴モードはグッと減り、比較的順調に歩いている。しかし公園に着くと途端に拒否柴モードになり、砂地で座り込んでしまう。ハーネス散歩のいつものパターンになってしまった。

 しばらく放置していると、前方から仲良しのワンコがやってきた。いつもなら元気に向かっていくところだが、尻尾だけフリフリして拒否柴モード中。

 飼い主のオネーサンさんには、以前お会いしたときにハーネス着用中は歩かないことを相談していたので、状況がわかっているようだ。今回も、拒否柴モードであることを察してくれたオネーサンが遠くからワンコの名前を呼ぶと、、、

 尻尾フリフリで猛ダッシュ!

その後は仲良しワンコと走り回りながら、そこらじゅうで追いかけっこを楽しんでいる!

 それを見ていたオネーサン

 「なんだ~普通に走れるんじゃん!」

 オイオイ、今までの辛そうな姿は演技だったのか?

 その日はハーネスを付けた状態でも最後までハイテンションで散歩を楽しんでくれた。

 オネーサン曰く、

 「楽しそうに走れるんだから、家の中でも慣れるまではハーネス着用で過ごしたほうがいいかもね?」

 とのアドバイスを頂いた。

 よし、室内では裸族が基本だが、暫くの間は着けたままにしておこう!ようやく希望の光が差し込んできた。

 翌朝、散歩に出かけようとワンコを促すが、とても悲しそうな表情で目を合わせようとしない。

 オイオイ、昨夜のハイテンションはどこに行った?また演技しているのか?

(だって、束縛されるのイヤなんだもん。どうしてわかってくれないの?)

 物悲しげな瞳が訴えてくる。外に連れ出しても玄関ホールの端っこの方に逃避してしまい、いつまでも座り込んでいる。

 散歩デビューの頃から首輪で動き回ることに慣れてしまったので、急な切り替えに体や気持ちが追いついていかないのかもしれない。初めのうちからハーネスを着用して散歩デビューしていたら良かったのだろうか。

 【楽しい散歩】を何よりも大切にしたいと思っているので、そこまで悲しい気持ちになっているワンコに対して、苦手なハーネスを付けることは飼い主のエゴなのだろうか。それとも、ハーネスを着けられることに越したことは無いので、ワガママを克服し、少しずつ慣れさせるようなトレーニングをしたほうがいいのだろうか?

 競技に出て一緒に走り回ることを諦めれば、これ以上ワンコに負担をかけることもなく、悲しい瞳を見ることもないだろう。一旦、ハーネストレーニングは置いといて、しばらくの間、様子見といこう。

 公園などではオシャレなハーネスを着けたワンコ達が楽しそうに散歩している。それとは対象的に、我が家のワンコは相変わらず体育会系のトレーニングのようにガンガン走り回っている。

楽しいんだけど、主はヘロヘロになんだよーー~!

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